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レース技術が詰め込まれたFD2型シビックタイプR
500馬力にターボチューンされたタイムアタック仕様
“5ZIGEN”と言えばスポーツマフラーメーカーであると同時に、フォーミュラニッポンやスーパーGTといったトップカテゴリーで高い実績を収めてきたレース集団だ。
このシビックターボの製作にあたっては、百戦錬磨のレースメカニックがチューニングカーの聖域である筑波サーキットへの挑戦をテーマに英知を結集したのだ。
製作の前段階でアメリカ・バトンウィローのタイムアタックを経験していた5ZIGENが、筑波に向けた準備を進める上でまず求めたのがパワー。メカチューンやスーパーチャージャーという選択肢もあるが、手っ取り早くパワー得られるツールとしてターボチャージャーをチョイス。
目標出力を500psオーバーに設定、パワーとレスポンスのバランスが良く、信頼性が高いタービンとしてTO4Sを選出。エンジン本体も鍛造削り出しのワンオフピストンや強化コンロッド、シリンダーブロックの強化など、内部の強度アップも充実させた。
なお、FD2は後方排気なので重量配分を考慮してエンジン後方にタービンを設置することも考えたが、バルクヘッド貫通など、大幅な改造が必要となるため、エキマニを延長してエンジンルーム前方にタービン設置位置を決めたという。
また、ウォーターポンプはレース用の電動タイプ、パワステもメルセデスの電動式に置き換える。パワーロスの原因なりそうなものを地道に改善し、結果的に出力アップに貢献しているのだ。
もちろんエンジンだけでなく、ボディやサスペンションのメイキングにもレーシングテクノロジーを投入。
まず、エクステリアでは、イングス製フロントバンパーの開口部をさらにカットし、トラストのインタークーラーをインストール。ボンネットにはエアスクープを設け、ダクトホースを介してタービンにフレッシュなエアを送り込んでいる。
トレッドはオーバーフェンダーで片側20mmほど拡大し、10J×18+25の5ZIGENインペリオスポーツRS-Iを組み込む。タイヤは255/40-18のディレッツァ03Gで、エアボリュームを稼ぐために35偏平ではなく、40偏平を選んだ。
さらに、フロア下にはアンダーパネルがフル装備され、フラットボトム化を実現。車体の下面の空気を積極的に空力パーツでコントロール。また、フロントに集まりすぎる荷重を緩和するため、リヤにはGTウイングの他に、ディフューザーや巨大なカナードが積極的に導入される。
軽量化にも余念がなく、運転席のドアは一部をカット。その他のドアはFRP製に交換され、さらにリヤドアはヒンジやラッチといった締結部品も完全撤去。軽量化を限界まで推し進めているのだ。
車高調は大幅に軽減された重量や設定車高に合わせて設計されたオリジナルのワンオフ品。スプリングレートはフロント28kg/mm、リヤ22kg/mm。コーナーリング中のキャンバー角を維持して接地性を向上させるため、フロントロワアームの加工によってキャスター角はやや寝かせ気味のセッティングとされている。
ブレーキ系統も独特。このFD2には2つのブレーキマスターシリンダーが存在する。ブレーキバランスの調整を容易に行い、FFのFD2でリヤブレーキをロックさせることなく使い切るため、前後のシリンダーを独立させているのだ。
ダッシュボードも軽量化のためにノーマルから型を取り、FRPで製作する。また、計器類は大型のタコメーターをセンターに配置。「連続周回するわけではないので、水温、油温、油圧といった情報は走行後にモーテックでチェックすれば良い」と割り切っているそうだ。
1070kgの軽量ボディと515psのVTECターボが繰り出す戦闘力は凄まじく、シェイクダウンで当時FFでは最速となる58秒249をアッサリとマーク。その存在感を大いにアピールした。
●取材協力:5ZIGENインターナショナル TEL:072-995-8005
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