「なぜロータリーエンジンを捨てたんだ!?」RB26DETTを換装した掟破りのFC3Sに迫る!

ストリート兼ドラッグ仕様として製作されたFC3S。このチューンドの見どころはやはり心臓部。なんと、13B-T型ロータリーエンジンを捨て去り、直6のRB26DETTを換装してしまったのである! 生粋のロータリーファンからすれば異を唱えたくなる問題作、そのメイキングに迫る!(OPTION誌2001年10月号より抜粋)

RX-7の“魂”をあっさり捨てた問題作!?

ターザン山田がRB26搭載セブンの戦闘力を解き明かす

FC3Sと言えば、改めて紹介するまでもないピュアスポーツの王道だ。熱烈なファンが多く、某漫画の影響もあって未だに人気が高いモデルである。チューニングシーンでもそれは変わらず、様々なアプローチでFC3Sのポテンシャルを高める術が考案されてきた。しかし、ここまで強烈な個性を秘めた異端な存在はそうはいないだろう。

なにせ、 RX-7の象徴とも言うべきロータリーエンジンを捨て去り、あろうことかライバルとも言える第二世代GT-RのRB26DETTを搭載してしまったのである。これは、正統派RX-7ファンやロータリーマニアからすると相当な問題作(!?)であり、禁忌に触れる邪道チューンと認識されてしまいそうだが、チューニングの世界に壁や限界などない。

なにより、圧倒的な完成度の高さを誇るこのチューンドを見たら、逆に感銘を受けるはずだ。

製作したのは、茨城県の“パワーガレージサービスユナキ”。ストリートも走れる週末ドラッグ仕様として独自の進化を続けた結果、同ショップが得意とするRB26へのスワップを決意。

フロントのサスメンバーおよびオイルパンを大加工し、BCNR33のN1エンジンをバルクヘッド側に後退させて搭載した。エンジン本体は腰下まで手が入り、TO4Rタービンにブースト1.5キロを掛けて651psを発揮させている。レブリミットは8600rpmだ。

当然ながらFC3Sのエンジンルームに直6は収まりきらない。そのままではボンネットが閉まらないため、ボンネットセンターを大きく盛り上げて逃げを作って対処している。

超極太のエキゾーストマフラーはオールステンレス製。85φから90φへと徐々に径が太くなるメガホン構造でテールエンドは114.3φのシングル出し。フロントパイプも85φのオリジナルだ。

サスペンションはHKSハイパーマックスドラッグダンパー改を軸に構築。RB26DETT化による重量増とパワー特性に合わせたセッティングが施されている。サスメンバーやボディも、応力が集中するポイントにスポット溶接増しや当て板補強を施して強化済みだ。

ゼロヨン仕様ということで、タイヤは275/40-17のニットーNT555Rをリヤに履く。タイヤサイズに合わせて叩き出されたフェンダーがストリートゼロヨン仕様らしさを醸し出す。

ウルトラのステッピングモーター式タコメーターが、ゼロヨン仕様を主張するインテリア。ドアの内張りやフロアなどには軽量化の努力が伺える。ミッションはHKSの6速ドグを搭載する。

リヤコンパートメントは完全なゼロヨン仕様。パクストンの燃料ポンプやB&Mニューボルトなどアメリカンなパーツで構成されている。左側のタンクは、燃料の空打ちを防止するコレクタータンクだ。

実験的な意味合いが強いというチューンドだが、実際に試乗したターザン山田は「トラクションの掛かりも良いしパワー特性も十分。条件が揃えば10秒台は確実に出るだろうね。驚きなのは、ローレルとかのRB26スワップ車両なんかよりも違和感が無いってこと。フロントヘビーもそこまで感じないし、サーキット仕様として進化させても面白そうだよ」と絶賛。

事情を知らなければ「???」しか頭に浮かばないアンリミテッドの魔改造セブンだが、理想を形にしてキッチリと走れるように仕上げた作り手の情熱には脱帽だ。何より、常識に捉われないスペックは、チューニングの面白さと奥深さを教えてくれているようだ。

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