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全ては技術力への挑戦からスタートした
全長なんと5170mm! 大迫力のストレッチボディ
もはや、実写版のサイバーフォーミュラとでも言った方が正しい気もするカスタムチューンドの登場だ。手がけたのはバリュープログレス。MR-Sをフロント方向に1100mm延長して作り上げたそうだが、完全に異次元クラスである。
「技術への挑戦ですね。エアロも延長フレームも、全てボルトオンで取り付けしているため、元のMR-Sに戻すこともできますよ」とは、バリュープログレスの白岩代表。
「え? ここまでMR-Sの原形を留めていないのに、元に戻せるんですか?」と聞くと、フルフラットにされたボディ底面のカウルを外して内部のフレーム構造を見せてくれた。
なるほど、純正のフロアボディには一切手を入れず、下面にオリジナルのハシゴのようなパイプフレームを這わせているわけだ。これにより、走行に支障のないボディ剛性を確保しつつ、全長5170mm、全幅2160mmというサイズを実現している。
超ロングノーズ化に合わせて、フロントサスペンションも再構築。パイプフレームにマウントを設け、ロータスエリーゼの足回りをゴッソリと移植。ストラット式からダブルウィッシュボーン式へと改められている。当然、ステアリングシャフトも延長済みだ。
このパイプフレームの上にFRP製のカウルが装着されることで、MR-Sとは想像できない形状のロングノーズのスタイルを実現。「設計図なしで作ったので、まとまりはないけど…」と白岩代表は謙遜するが、この存在感と完成度の高さは相当ハイレベルだ。
通常のMR-Sで言うところのタイヤハウスにあたる部分には、フィン状のエアロパーツを装着。きっちりとラジエターの熱を逃がすような構造になっている。
ロングノーズ化によって前方の確認が困難になったため、フロントカメラを装着。モニターに映像を映し出すことで、公道での使用を可能にしている。また、エアロの造形もワンオフとは思えないほど曲線や面出しが素晴らしく、拘って製作されていることがうかがい知れる。
街乗りまで考えて製作されているため、行き場を失ったミラーはフロントフェンダーと一体化した形状となる。これが意外にも視認性が高く、使い勝手も良好だ。
5.17mというロングボディと2.16mという全幅のために、通常のローダーには搭載できなくなってしまった。そのため、イベント等へ出展するためにローダー自体もロング化し、キャリア部の幅もギリギリ収まるように改造しているほど。意外にも、純正の幌が残っているあたりが面白い。
余談ではあるが、今作は“龍”を意識したデザインがカウル製作のコンセプト。言われてみれば、フロントウイングの形状といい、フロントフェンダーの突き出しといい、龍の顔とヒゲのような形状となっている。ともあれ、見た目の美しさにも配慮した細部フィニッシュには脱帽だ。
●取材協力:バリュープログレス 福島県田村市常葉町常葉字西田30-1 TEL:0247-67-1366
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