「新車登録台数13万台!」80年代を代表するハイソカー2代目ソアラの魔力を再検証!!

F31型レパードはライバルなどではない!

“ザ・ハイソカー”の立ち位置を不動にした2代目

国産車初の本格的ラグジュアリークーペとして、1981年に登場した初代10系ソアラ。新開発となる2.8L直6の5M-GEU型エンジンは当時、国産車最強の170psを誇り、直後に勃発するパワー競争の起爆剤になった。その後を受けた2代目20系は1986年1月に発売。初代のイメージを受け継ぎながら、より洗練されたスタイリングが人気に拍車をかけた。

グレードは、10系後期型に載る3.0L直6の6M-GEUを4バルブターボ化した7M-GTEU(230ps)を搭載する3.0GT/同リミテッド、2.0L直6ツインターボ1G-GTEU(185ps)を載せる2.0GTツインターボ、そのNA版1G-GEU(140ps)搭載の2.0GT、1G-EU(105ps)を載せる2.0VX/VZの6つが用意された。

取材車両は2.0GTツインターボの4速ATモデル。ボディ色は1980年代半ばにやってきた“ハイソカーブーム”の代表的カラーといえるスーパーホワイトIIだ。

エンジンはパワーとレスポンスの両立を狙い、1~3番シリンダーと4~6番シリンダーそれぞれに小径のトヨタ内製CT12型タービンが配された1G-GTEU型。ちなみにVVT-i無し前期1JZ-GTEの純正タービンも型式は同じだが、コンプレッサー&エキゾーストホイールの形状やサイズなどが異なり、1G-GTEU用よりもハイフローな設計になっている。

1G-GTEU型を初めて搭載したGX71系マークII三兄弟ではインタークーラーが水冷式だったが、GZ20では空冷式を採用。ラジエター前方にコアが確認できる。

1G系エンジンは、最終進化版となるFEのVVT-i仕様を除くとどれも低中速トルクの細さを痛感するが、それはツインターボの1G-GTEUでも全く同じ。いや、むしろターボ化に伴って圧縮比が下げられる(9.1→8.5)一方で、ブーストが掛かりはじめるとパワーの盛り上がりをハッキリと体感できる分、低中速トルクの頼りなさがより強調されてしまうという方が正しいかもしれない。

しかも、ミッションは誤魔化しが効かない4速AT。60km/hくらいまではかなり頑張ってアクセルペダルを踏み込まないと思ったように加速してくれないし、「ツインターボだから凄そう」などと思っていると肩透かしを食らうこと必至。当時こそ2.0Lクラスのハイパフォーマンスエンジンだったかもしれないが、それは35年も前の話。時代の流れは残酷だ。

しかし、それで魅力が半減するかといえば、そうではないのが20系ソアラの強み。すでに国産車では絶滅してしまったラグジュアリークーペとしてハイソカーブームを牽引したエポックメイキングな1台だし、ひとたびステアリングを握れば、右肩上がりで勢いに乗っていた頃の国産車であることを今でも肌で感じ取れるからだ。

室内を見ていく。ダッシュボードメータークラスターからセンターコンソール上部まで一体成型され、ドアトリムとのデザイン的な連続性も持たされたスタイル。2.0GTツインターボは、本革巻き3本スポークステアリングホイールを装着する唯一のグレードになる(他グレードは本革巻きもしくは合成革巻き2本スポーク)。

また、奥行き感を出すことで焦点距離の変化を最小限に抑えたデジパネのスペースビジョンメーターは全グレードに標準装備。

オーバーヘッドコンソールには左右独立型のマップランプとデジタル式時計を装備。サンバイザーを含めて、いずれもルーフライニングとは別体式とされた樹脂製トリムに設けられている。

電動格納&調整式ドアミラーとパワーウインドウのスイッチが並ぶ運転席側ドアトリム。アームレスト部に設けられたドアハンドルを含め、個性的なデザインを見せる。また、ドアは上下ヒンジを一体型として剛性を高めた世界初の4リンク式を採用。斜め前方にせり出しながらドアが開くことで、狭い場所での乗降性を向上させている。

表皮にモケットが採用され、運転席には電動ランバーサポート&サイドサポートを備えたスポーツシート。ヘッドレストは上下だけでなく前後にも調整可能となっている。

後席の背もたれはヘッドレスト一体型で、センターアームレストを装備する。

ホイールは標準装備されるイントラ製15インチ。2.0GTツインターボと3.0GTはシルバー、最上級3.0GTリミテッドはライトベージュとなる。リム幅6.0Jで、タイヤは標準215/60R15サイズのDNAエコスES300を装着。

20系ソアラと言えば、ライバルとしてよくF31系レパードが挙げられる。が、実際のところは“同じクラスやカテゴリーに属する2台”というだけ。新車登録台数を比べてみると20系ソアラは14万2000台、F31系レパードは3万8000台で、この数字が全てを物語っている。

つまり、圧倒的な人気を集めてた20系ソアラに対して、F31系レパードは足元にも及ばなかったというのがまぎれもない事実なのだ。さらに3.0Lモデルも2.0Lモデルも、高性能をアピールするにはもっとも効果的な4バルブDOHCターボ/ツインターボを主軸に据えたトヨタの戦略。20系ソアラが絶大な人気を誇ったのは、もはや必然だったと言うしかない。

●SPECIFICATIONS
車両型式:GZ20
全長×全幅×全高:4675×1695×1345mm
ホイールベース:2670mm
トレッド(F/R):1460/1455mm
車両重量:1430kg
エンジン型式:1G-GTEU
エンジン形式:直6DOHC+ツインターボ
ボア×ストローク:φ75.0×75.0mm
排気量:1988cc 圧縮比:8.5:1
最高出力:185ps/6200rpm
最大トルク:24.5kgm/3200rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式:FRダブルウィッシュボーン
ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:FR215/60R15

●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

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