目次
5E換装+純正改ハイフロー仕様で2.0Lターボを超えろ!
ローギヤードファイナルもエンジン特性と好マッチング
5代目にして最後のスターレットとなったEP91。グランツァVは135ps/16.0kgmを誇る1.3Lターボの4E-FTEを搭載したトップグレードだ。それを1.5Lの5Eに載せ換え、ハイフロー加工済みの4E-FTE純正タービンを組み合せたのがこのチューンドだ。
5Eエンジンは、5E-FEではなくセラとサイノス前期型βのみに搭載された5E-FHEを選択してるのがポイント。FEに対してFHEは、クランクシャフトのメインジャーナル径が太く、カムシャフトも作用角とリフト量が大きい(220度/6mm→228度/7mm)など、同じ5Eでもパワーアップに対するポテンシャルが高いのだ。
なお、ストロークが長い分、4Eに対してシリンダーブロックが10mm高くなるが、EP91に載せるにあたってとくに問題はなし。
さらに、ターボ化に合わせて耐久性を高めるため、純正0.5mmオーバーサイズのワンオフ74.5φピストンと強化コンロッドを腰下にセット。ヘッドガスケットは2.4mm厚のメタル特注品に交換され、圧縮比を落としながらハイブースト時の抜けを防止している。ヘッドはポート加工が施される他、バルブリフターを純正のアウターシム式から、シム一体型の1SZ-FE純正品に交換して動弁系の軽量化も敢行。
また、燃料系はポンプのみ1JZ-GTE前期用に交換して燃圧と吐出量を確保。eマネージアルティメイトで制御される5E-FHE+純正改ハイフロータービン仕様は、現状220psを発揮する。ブースト圧は常時1.0キロ、スクランブル時1.3キロの設定だ。
インタークーラーはARC純正交換タイプ。冷却効率は前置きタイプのほうが優れるが、パイピングが長くなることによるレスポンスの悪化を嫌ってチョイスされた。また、吸気系では純正スロットル内部にテーパー加工を施して、吸気の流速を高めているのもポイント。
ミッションは当初AE111純正6速MTがセットされたが、ギヤ比がトルク特性に合わないという事態に。そこで、ファイナルギヤのみAE111用4.3を流用してローギヤード化を図りながら(ノーマルは3.7)、EP91純正5速MTに戻されることになった。クラッチは操作性に優れるスポーツフェーシングタイプのTRD強化品が装着される。
足回りは、クスココンプ02にフロント8kg/mm、リヤ6kg/mmのスウィフトスプリングという組み合わせ。スタビライザーはTRD強化品、リヤラテラルロッドはクスコのピロ調整タイプに交換され、ストリートからサーキットまでオールマイティに走れるセッティングとされている。また、ブレーキは前後ともパッドのみプロジェクトμレベルマックス700をセット。
取材時は街乗り用として、フロントにポテンザRE711(205/50-15)、リヤにポテンザGIII(195/50-15)を装着。サーキットではフロント205/50-15もしくは16、リヤ195/50-15サイズのポテンザRE55Sがセットされる。
ダッシュボード右端にセットされるのはデフィのブースト&水温計。ブースト圧はHKS EVCでコントロールされる。また、ステアリングはノーマルだけど、シフトノブがTRD製に交換され、操作性を高めている。
ストリートでも快適に乗れることを前提にしてるため、リヤシートやトリム類は全て残され、軽量化は行われていない。シートは運転席のみレカロSRIIに交換することで、街乗りでの快適性とサーキットでのホールド性を向上させている。
エクステリアはオーナー拘りのフルノーマル。マフラーは排気効率の向上だけでなく、砲弾型サイレンサーがリヤビューに迫力をプラスするRS☆RエキマグGTIIを装着。リヤウインドウに貼られたステッカー。見た目に5E換装であることを示すのはこのステッカーだけだ。
走りは刺激的の一言。タコメーターの針が3000~5000rpmにあれば、アクセルひと踏みで蹴り出されるように加速する。その速さは2.0Lターボクラスと同等かそれ以上で、ワインディングの上りでもパフォーマンス的には文句なし。
今時のコンパクトカーでは絶対味わえない刺激度満点の走り。「ホットハッチってのは、こういうクルマの事を言うんだ」と改めて教えてくれたのが、このEP91だ。