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漫画の仕様そのままに心臓部はRB26DETTを換装!
名作漫画『シャコタンブギ』の主人公が乗る“ハジメちゃんソアラ”を完全再現した超力作がコチラ。単なる外装レプリカ仕様と侮るなかれ、原作通りに心臓部までリメイクした本気のチューンドなのだ。(OPTION誌2003年5月号より)
改造車スピリッツの原点を示した異色のスワップマシン
まるで“ハジメちゃんソアラ”が、漫画の世界から飛び出してきたかのような錯覚を受ける。福岡県のSPEED(※)が製作したソアラは、外観は当時流行ったスタイルを踏襲しつつ、機能面は最新のパーツ類を装備して現代でも通用するチューニングカーとして仕立ててきた。
車両はネットオークションでたまたま発見した個体を落札したものの、旧車ゆえにパーツ入手は困難を極めた。その結果、ミラーを除くエアロパーツやステッカー類はほとんどが手作りだというから驚きだ。しかし、このソアラのコア技術はそこではない。
なんと心臓部もハジメちゃんソアラを忠実に再現すべく、純正の1G-EUを捨てRB26DETTをスワップしているのだ。BNR34のヘッドカバーを装備しているが、エンジン本体はBCNR33のもの。吸排気系のみのライトチューンではあるが、ソアラに300ps級のパワーは十分だ。
換装にあたっては、元々6気筒エンジンを搭載していることからスペース的な問題はほぼ無し。ただし、エンジン搭載位置が異なるため、比較的加工が少なくて済むR32系のマウントを使って対応している。
ミッションは、Z10系ソアラの狭いフロアトンネルを加味してコンパクトなR32スカイラインタイプMの5速を流用。位置的にはほぼ問題が無く加工にもそれほど手間はかからなかったそうだ。プロペラシャフトはワンオフで製作している。
ミラーはショップの倉庫に保管していた定番のビタローニ。ダッシュボード上には当時の定番アイテムである流星灯も装備する。他にもお店のお客さん達が提供してくれたというアイテムが数多く装備されていた。
ホイールはロンシャンXR-4。10Jに205サイズのタイヤを引っ張り装着して、漫画の世界のチューンドを再現する。フェンダーは鉄板溶接で30mmワイド化。この年代のクルマはボディの下部が絞り込まれているので、トレッド面が見えるワイドトレッド化は見た目の印象を大きく変えてくれる。
そして足回り。フロントはS13シルビア用の車高調キットをベースに60mmショートケース化したものをインストール。スプリングにはスウィフトを組み合わせる。リヤは製作時間が足りず、ビルシュタイン製のダンパーに2巻半カットの純正スプリングをセットしている。
エアロはチンスポ&板っ羽という往年のゴールデンコンビで武装。外観はハジメちゃんソアラの雰囲気そのままだが、夜間の走行に不安があるとのことでヘッドライトにはHIDを備えるなど、後世の技術でクルマとしての実用性を高めている点も見逃せない。
見事なフルレプリカ仕様だが、旧車ベースに新しい世代のエンジンをスワップするというこの手法は、今後のチューニング業界が進んでいく方向のひとつなのかもしれない。(※SPEEDは閉店しています。)
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