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エンジンはガレージ八幡デモカー同等の仕様まで進化!
サーキット仕様特有のオーラを放つ
チューニングベースとしてはもちろん、魅せ技満載のカスタム系からの人気も高い86&BRZ。しかし、スポーツカーである本質を極めるという意味では、こういったパフォーマンスチューンこそ王道と言えるスタイルだろう。今回紹介する“TS-AIHARA”さんのZN6は、そんな86の正常進化系、タイムアタック仕様として作り込まれた1台だ。
サーキットスペックへの進化を前提に新車購入したZN6だったが、あまりのローパワーっぷりにフラストレーションが爆発。意を決して名門チューナー“ガレージ八幡”に車両を持ち込み、デモカー同等のTD06L2-20Gターボ仕様へのドーピングを敢行したのである。
「ボルトオンターボ化してすぐの頃は、エンジンもノーマルだったのでブースト圧を抑えていたのですが、今から5年前にエンジン内部も強化して400psまでパワーを引き上げました」とはオーナー。
FA20は、CP鍛造ピストンにキャリロのH断面コンロッドでターボ化に合わせた圧縮比ダウン(8.1:1)と強度アップが施され、ヘッドにはHKSのハイカムを投入。これにより、1.7キロのハイブーストを実現している。
また、ミッションは根本的な強度不安を一掃するため1JZ用の5速MT「R154」に換装。ベルハウジングを製作することでシフト位置も変わることなく、ハードな走行でもミッションが挫けることは一切ない。
ターボ化によるインタークーラーの追加は、ラジエターの冷却性を損なわないよう、ガレージ八幡でオリジナルのVマウントシステムを構築。
ボディはフルストリップ状態から、スポット溶接増しと溶接留めロールケージのコンビネーションによって大幅に剛体化。リヤシートはキャンルされ、設置されたクロスバー&ガゼット補強は見た目のインパクトも強い。
今年からセットしたリヤタイヤは315/30R18のアドバンA052と超極太。ホイールはフロントが10.5JのボルクレーシングTE37、リヤが12JのレイズボルクレーシングNE24となる。
足回りはオーリンズPCV車高調を軸にセットアップ。スプリングレートは現在テスト中で、シェイクダウンでは前回よりも4kg/mm硬いスプリングを使用したところ、跳ねが大きくなってしまったので2kg/mmレートを落として再セッティングを行う予定。タイムアタックに向けて、着々と準備を進めているのだ。
ブレーキは前後ともにエンドレスのキットで武装。フロントがMONO6S&355mmローター、リヤがレーシング4&332mmローターの組み合わせ。
エクステリアは、イングスのフロントバンパーや汎用オーバーフェンダー(60mmワイド)で武装し、さらにドライカーボンルーフ、カーボンドアパネル、アクリルウインドウなど、外板パーツの軽量化も推進。サーキットスペックとしての純度を高めている。
リヤウイングは、ボルテックスの2エレメントタイプ・タイムアタック用(ドライカーボン製)をセット。一方でフロントにもアンダーパネルを追加し、前後の空力バランスを整えている。
ちなみに、このZN6は基本的にサーキット専用機ながら、構造変更検査を受けた合法スペック(公道走行時はカナード>ウイングを外す)だったりする。レーシングカーではなく、あくまでチューニングカーというわけだ。
試行錯誤を繰り返しながら辿り着いたスーパースペック。クルマを仕上げる過程では、幾度となくサーキットでのタイムアタックを重ねてきた。一見、スパルタンな印象だが、実車はとにかく綺麗で大切に乗り続けられてきたことがよく分かる。オーナーの愛情とガレージ八幡の技術で、いつまでも元気に走り続けて欲しいものだ。
PHOTO/REPORT:渡辺大輔