「なんでJZA80スープラを排気量ダウン!?」高周波サウンドを求めた異端チューンドを捕獲!

快音を求めて1JZ-GTE換装に踏み切った異端チューンド

税金面でも有利なエンジンスワップだ!?

カーアクション映画『ワイルドスピード』で主役を張ったマシンとして、世界中のクルマ好きから人気を集めるJZA80スープラ。中古車相場の上昇は歯止めがかからない状況で、中でも2JZターボ搭載のRZは500万円オーバーも当たり前の世界。

もはや高嶺の花とも言える存在になってきたが、NAのSZベースなら多少は現実味も出てくる。そこで長野県の“アーティスト”が製作したJZA80に注目していこう。

「元々はSZの不動車だったんです。それをベースに甲高い音を出したいと、100系ツアラーVや30ソアラに搭載されているVVT-i付きの1JZユニットを5速ミッションごと移植しました。当時、誰もやっていなかったのも1JZスワップに踏み切った理由ですね」と代表の宮坂さん。

このエンジンスワップのハードルはそれほど高くはなく、JZZ30ソアラ用のオイルパンを流用することで、マウントやメンバーの加工をせずにすんなり搭載できたそう。サージタンクやスロットルはエンジンに合わせてJZX100純正を使っている。

換装した1JZは、腰下ノーマルのまま、ヘッドは排気側のみHKSの264度ハイカムを導入。ちなみにエンジンハーネスは、長さに余裕のある30ソアラ用をベースに取り回しを変更。一部を繋ぎ変えて接続している。

ワンオフで製作したEXマニを介して装着されるのはRX-6タービン。ブーストが立ち上がる3500〜4000rpmからは快音とともにレブリミットまで一気に吹け上がる。最高出力は507ps&65kgmだ。

冷却対策も抜かりなく、サードのラジエターやHPIオイルクーラーの導入により、夏場でも安心してアクセルを踏み抜ける仕様になっている。

エキゾーストはアーティストの宮坂代表が最も拘ったポイントのひとつ。「EXマニやフロントパイプはワンオフ製作。甲高いサウンドを奏でるためにヴェイルサイドのチタンマフラーを装着しました」とのこと。

大パワーを受け止めるべく、足回りはHKSハイパーマックスⅣSP車高調(F22kg/mm R16kg/mm)で強化。LSDはクスコのタイプRSを奢る。

ホイールはプロドライブのGC-06で、タイヤには255/35サイズのゼクノバRS606R1を組み込む。その奥にチラリと覗くキャリパーはF50用ブレンボ。パワーアップに伴い、制動力もしっかりと強化されているのだ。

美しいコンディションを維持するコクピット周り。シートはブリッドのジータIIIを2脚装備。サイドバー付きロールケージが組まれているが、ワークスベルのラフィックスでステアリングを脱着できるようにしているので乗降性は悪くない。

ミッションはJZX100用を流用。若干シフト位置が前方にくるが気になるほどではない。追加メーターやF-CON Vプロはセンターコンソールに集中させ、後付け感のないインテリアを構築する。エアコン付きなので街乗りも快適だ。

エクステリアは、RIDOXとヴェイルサイドのエアロを組み合わせて個性を主張。GTウイングはサード製をチョイスした。元々は不動車だったというが、とてもそうは思えないほどのコンディションを保つ。

このチューンドを峠で試乗した佐々木雅弘選手は「これぞチューンドっていう乗り味ですね。サウンドが甲高くて気持ち良いので、思わずアクセルを開けたくなっちゃう。今時のクルマのように良い子ではないけど、個人的にこういう刺激的な走りは好き。やる気にさせますよね。あ、自動車税も2.5Lだから安くなるし!」と高評価。

流通量が少ない上に高価な2JZと比べると、まだ入手しやすい1JZ。アーティストのJZА80は、ガンガン走るなら1JZ換装という選択肢もあることを、見事に実証してみせた好サンプルと言えそうだ。

●取材協力:アーティスト 長野県安曇野市堀金烏川4343-6 TEL:0263-71-5670

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