「商用バン最強決定戦!」ADバンとプロボックスをサーキットでガチ対決させてみた

走りが良いのは日産? それともトヨタ!?

世界を股にかける人気プロドライバーが商用バンを徹底検証

商品や工具などを満載し、各地を飛び回るような方々を支え続ける商用バン。職人や営業マンにとっては、移動ツールとして最も重要な相棒だ。近年では、カスタムベースとして一部マニアの間で人気にもなっているが、実際問題、これらのクルマはどのくらい走ってくれるのだろうか。

そんな疑問を解決するべく、今回は日産のADバン(正式名称:NV150AD)とトヨタのプロボックスを用意した上で禁断のサーキットテストを敢行。選んだステージは千葉県の茂原ツインサーキット。ドライバーは世界を股にかけて活躍する“ターザン山田”こと山田英二選手だ。

それぞれの車両を軽く解説すると、プロボックスはカローラバンの後継モデルとして2002年に登場した4ナンバーサイズのビジネスモデル。開発当初からプラットフォームやパワーユニットはヴィッツと共有し、ビジネスの枠を超えたレジャービークルとしても人気を集めている。

現行モデルでは、現代のホットハッチの異名を持つヴィッツGRに匹敵する109psを発揮。高荷重時の発進でもたつかないようにギア比も最適化され、フロア剛性の向上やリヤサスペンションの形状のリファインにより、実用車としての性能を追求している。

もちろん、日々長時間酷使される営業車として、省燃費性能も重要視。特に燃費に関しては可変バルブタイミング機能やアイドリンストップ、スーパーCVT-iを採用しJC08モードで19.6km/Lのカタログ値をマーク。まさにビジネスパートナーの優等生と言える存在だ。

一方のADバンは、Y12型ウイングロードをベースにカーゴ部のスペース効率を高めるべくリヤサスペンションの設計を見直して2006年に登場。2016年のマイナーチェンジで名称をNV150ADに変更し、同時にこれまで別ラインナップとされてきたADとADエキスパートを統合。グレード体系を一新している。

取材車両は、HR15DEエンジンを搭載する2WDモデル。排気量は自然吸気の1500ccで、最高出力は111ps。CVTは乗用モデルと共通の変速比率を採用するため、スタートから高速クルージングまで違和感なく快適にこなす。省燃費性能に関しては、乗用車で採用されるユニットやCVTを採用することで、JC08モードで17.4km/Lとなる。

広く使い勝手の良いカーゴスペースに乗用車ライクな乗り心地と合わせ、商用バンながらも快適性が高められているのが特徴だ。

そんな2台を交互に乗り比べながらサーキットアタックを行なった結果、ベストタイムはプロボックスが1分1秒136、ADバンが1分00秒863。わずかだが、ADバンに軍配が上がった。ちなみに、茂原ツインサーキットのFFクラスレコードが43秒899(取材時)なので約17秒落ちということになる。

また、60km/hまでの到達時間はプロボックスが5秒89なのに対し、ADバンは5秒83と、こちらもADバンがリードした。

ターザン山田によると「日産とトヨタの商用車対決だけど、乗ってみて明らかにメーカーの色が出ていて面白かった! 全然違うんだよね」とのこと。

そしてプロボックスについては「トヨタらしく、ボディ剛性がしっかりしているから安心してアクセルを踏んでいける。ただ、トラクションコントロールが働いちゃうと、CVTの制御で回転数が全く上がらなるんだ。安全装備としては頼もしいけど、コレがあると全開でコーナーに飛び込んだ時にモタつくことが多くて気になっちゃうな。真面目に作りすぎて、賢い制御系がキッチリ働きすぎている印象なんだよね」とインプレッション。

対してADバンの方は「遊びが大きいというか、ファジーな所がかえって良かったりする。エンジンもグイグイ上まで回るし、CVTの制御もトラクションコントロールなんて無関係な感じ。言い方は悪いかもしれないけど、ひと昔前のアナログ的要素が残っているから、こっちの方が面白いのは確か。でも、ボディもサスペンションも全体的に柔らかい印象だから、個人的に言えばサスとか硬めておきたいかな(笑)」と評価する。

安定感を求めるならプロボックス、走る楽しさを追求するならADバン。両者それぞれのキャラクターが色濃く出た結果だ。

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