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アクセルを踏むのが恐ろしくなるロータリーロケット
ここまでやっていても完全合法仕様!
注目度抜群のイエローボディに、スパルタンでレーシー(!?)なガンダム系エアロとGTウイング…。一言で“理解不能”だ。なにせベース車両はシルビアやGT-Rではなく、農家御用達のスズキキャリィなのである。手がけたのは愛媛県の老舗チューニングショップ“RSフィースト”。早速、細部を見ていく。
エクステリアの凄まじさに目を奪われてしまうが、この軽トラのコア技術は中身にある。なんと心臓部にマツダRX-7の13B型ロータリーエンジンを搭載し、足回りもAE86用を完全移植しているのだ。
「ミニユンボを運ぶのにノーマルエンジンじゃパワーが足りないって相談されまして。パワフルなエンジンを換装しようって話になったのですが、いつの間にか当初の目的から大きく逸脱、気がつくと軽トラ最速が目的に変わっていました。エンジン本体は、サイドポート+TO4Eにブースト圧1.0キロをかけての350ps仕様。車重900キロ強の軽量ボディですから、その加速は強烈。アクセル踏むのが怖くなるぐらいですね」とは、製作を担当したRSフィーストの平岡代表。
ちなみに、13BエンジンはFD3SとFC3Sのミックス仕様でサイドポート拡大加工も施されたチューンドユニット。補機類にFC3S用のパーツも投入しながら、ボディ側には手を入れずブラケット加工のみでのインストールを実現している。当初は4A-Gも候補に挙がったものの、インパクトを求めてロータリーを選択したそうだ。
制御にはアペックスのパワーFCを使用。本体とコマンダーはシート間にマウントして存在感をアピールする。
また、キャリィの純正ガソリンタンクは運転席下に搭載されているが、エンジンのレイアウト上、その位置にTO4Eタービンをマウントする必要があった。そこで行き場を失ったガソリンタンクは、隔壁で覆った安全タンクに置き換えてリヤ(荷台下)に移設している。
ミッションはFC3Sの5速MTを流用。ただし、そのままではシフトレバー位置が荷台になってしまうため、ワイヤーを介してジャストな位置にレバーがくるよう調整した。
プロペラシャフトは、FC3S用を短く加工してAE86用のジョイントを溶接したワンオフスペシャルだ。
ハイパワー化にともない、ビッグキャリパー&車高調で武装。元々、フロント側はディスクブレーキ&ストラット式なので問題なし。
一方のリヤは、ギヤ比と容量の関係からAE86用のホーシングを移植してサイズアップを敢行。合わせてブレーキもドラムからディスクに変更済みだ。
なお、モンスター軽トラの合法化で苦労したのは排ガスの部分。一番の問題となりそうな13BやFC3S用ミッションの換装については、“ボディ無加工”が幸いして原動機変更だけの申請ですんなりクリア。
しかし、平成12年式となるGD-DA52Tに古い排気ガス規制のE-FC3S用エンジンをスワップをすると、排ガス試験を受けてのレポートが必要で実際に基準値を満たすのは至難の技だ。
そのため、年式の新しいGF-FD3S(平成12年式)のエンジン本体ベースに一部製作し直すことで、構造変更に再チャレンジしたという。こうして無事に合法化を成功させ、どこからでもホイールスピン可能なモンスター軽トラを公道デビューさせたのだ。
●取材協力:フィースト 愛媛県伊予郡松前町昌農内25-1 TEL:089-985-0504
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