「ビーエムやベンツには負けられぬ!」3代目セルシオに400馬力オーバーの過給機チューンを敢行!?

400馬力のスーパーチャージャー仕様を鈴鹿で試す

フルノーマルの外観はオーナーの拘り!

HKSのGTスーパーチャージャーによるボルトオン過給機チューンに力を入れる“エスプリ”。JZA80、FD3S、SXE10など様々な車種を手がけているが、その中でも特に変わり種なのがこのUCF30セルシオだ。

「オーナーさんは通勤で高速道路を走るんやけど、ベンツやビーエムに負けたくない!ってことでパワーアップをリクエストしてきたんよ。ただ、車格的にNAメカチューンはありえんし、ボルトオンターボやと排気系までやらなあかんやろ? コスト的にもパフォーマンス的にもGTスーパーチャージャー以外の選択肢はなかったわな」と、エスプリ前川代表。

エンジン本体はヘッド、腰下ともにノーマルで、圧縮比10.5のままボルトオンスーパーチャージャー化。インジェクターは350ccに容量アップされている。また、前置きインタークーラーはGT-R純正を流用。前川代表いわく「430psくらいやから容量的にはコレで十分」とのことだ。

ワンオフブラケットを介して装着されたHKS GTS8550。注目はエアクリーナーボックスで「吸気音が大きくなるのはNG」というオーナーのリクエストによって、GT-R純正が加工流用されているのだ。ノーマルにしか見えないのがお見事!

燃調と点火時期の制御はF-CON Vプロが担当。オーナーは毎日の通勤など日常的に乗るため、環境に左右されない安定した制御を狙い、エアフロを残したLジェトロ方式を採用している。

パワーグラフを見ると、このチューンドのクオリティの高さが良く理解できるはずだ。赤いグラフが計測馬力、緑のグラフがロス馬力を加味した修正馬力、青いグラフがトルク。まずパワーは遠心式スーパーチャージャーらしく、高回転域まで綺麗に伸びていることがパワーカーブから分かる。また、フラットなトルク曲線にも注目。100km/h前後(約2000rpm)で35kgmを発生し、6000rpmオーバーまで50kgm以上をキープしているのだ。

排気系はフロント&センターパイプをトムス製に交換。リヤピースは、センターパイプとの接続部を差し込み式とすることで純正をセットしている。「見た目はノーマルに! というオーナーの希望があったからこうしたんよ」と前川代表。また、TRDサスメンバーブレースの装着でフロア周辺の剛性アップも図られている。

サスペンションはクァンタム車高調にハイパコ製フロント14.3kg/mm、リヤメイン8kg/mm+スウィフト製ヘルパー4kg/mmのスプリングが組み合わされ、スタイビライザーをTRD製の強化品に交換。ブレーキは、パッドのみセミメタル系のエンドレスMX72で強化されている。

「見た目ノーマル」というオーナーの考えは徹底していて、ホイールもUSF30純正のまま。タイヤは前後245/45-18サイズのポテンザRE050Aが装着される。

コクピットは基本的にノーマルで追加メーターは一切無し。スピードメーターがトムス製320km/hフルスケールタイプに交換されてるくらいだ。また、タコメーター内の目ざわりなエンジンチェックランプを隠すため、HKSステッカーでカモフラージュ。

このチューンドを鈴鹿サーキットのフルコースで試乗させてもらったが、とにかく楽しいの一言。1〜2コーナーを抜け、S字を右に左に切り返しながらまず気づいたのは「想像以上に曲がってくれる」ということ。足のセッティングは完全にストリート仕様のままとのことだが、ロールが適度に抑えられていて必要以上にボディが深く沈み込むこともない。これなら、高速をハイペースで走る分にはなんの不安もないだろう。

エンジンは、過給機付きであることをまるで感じさせないフィーリング。しかし、アクセルオンと同時に立ち上がるトルクが予想以上に大きく、デグナーやヘアピンからの脱出では、普通にアクセルペダルを踏んでいるつもりなのにテールがズリッ…と流れてVSCのお世話になる。バックストレートは結構な上り勾配だが加速感に鈍りはなく、130R手前200m看板でメーター読み210キロを確認した。

ちなみに、パッドのみ交換されたブレーキは2周目の1コーナー進入で明らかにペダルストロークが増え、3周目の1コーナーでは「減速しきれないかも!?」と思ったほど。完全なストリート仕様で車重が2トンもあるのだから、そこは仕方ないところだ。

UCF30にとって鈴鹿フルコースは過酷な状況だったと思うが、逆にストリートでは動力性能的にも運動性能的にも、高いレベルでまとまっている…そう思わせてくれた1台だ。

●取材協力:エスプリ TEL:0593-70-8080

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