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走ってこそのホンダ魂!
C30A改3.1Lのフルメカチューンでパンチある走りを実現!
バブル期に登場した名車と呼べる国産スポーツカーの中で、未だにそのスタイリングが色褪せないのは、Z32フェアレディZ、FD3S RX-7、そしてNA1 NSX…という意見に同意してくれるクルマ好きはきっと多いはずだ。
とりわけ、NAで280psを達成した高回転型V6エンジンをオールアルミ製ボディのリヤミッドに載せたNA1は、800万円という新車価格もあって当時から別格の存在。スポーツカーというより、国産車初の本格的スーパーカーとして羨望の的だった。
ペントルーフが手掛けたのは左ハンドル北米仕様のアキュラNSXがベース。まず目を引くのは鮮やかな赤でオールペンされたボディだ。
フロントバンパーとサイドステップはアイズインパクト、フロントフェンダーはボーダー、リヤフェンダーとGTウイングはタイテック、エンジンフードやトランク、リヤバンパー&ディフューザーはGT ONEというエアロミックス仕様。機能優先のパーツチョイスがアグレッシブな雰囲気を高めながら、どこにも破綻のない抜群のまとまりを見せる。
そんな攻撃的なルックスが決して見掛け倒しでないことは、エンジンのチューニング内容を見れば明らかだ。まず腰下は戸田レーシングの鍛造ピストンとI断面コンロッドを組んで3.1L化が図られる。
また、高回転志向のエンジン特性を活かし切れるように、クランクシャフトはクランクプーリー、フライホイール&クラッチカバーを装着した状態でダイナミックバランス取りが行なわれる。一方、ヘッド周りにもハイカムや強化バルブスプリング、メタルガスケットなど戸田レーシング製パーツを投入。燃調と点火時期はHKS F-CON Vプロが担当する。
そのパワーを受け止める駆動系はトルクの伝達ロスを抑えるため、クラッチをエクセディハイパーシングルに交換。デフにはATSカーボンLSDが組まれる。それに伴って、ファイナル比も純正4.062からタイプR(92R)と同じレシオとなる4.235へと低められ、加速性能を向上させている。
ホイールは前18インチ、後19インチのアドバンレーシングGT。タイヤはポテンザS001で前225/35、後265/30サイズが組まれる。ブレーキは前後ブレンボ製4ポットキャリパーで強化。ABSユニットも後期型用に交換される。
足回りはテイン車高調で強化。EDFCの装着により室内からの減衰力調整を可能とし、さらにフロントにはスイッチ操作で車高を上げ下げできるロベルタカップも追加。走りと日常での使い勝手を両立する。
リヤのトランクスペースに装着されるのはロベルタカップ用のコンプレッサーとエアタンク。コンパクトな設計で場所を取らないため、トランクルームの実用性をほとんど犠牲にしないのがポイント。
ステアリングホイールはアブフラッグ製、シフトノブはKSPエンジニアリング製に交換。ステアリングコラム上にはレースパックIQ3メーターがセットされ、車両の情報を一括管理する。また、ロールケージの助手席側フロントバーにはAimサーキットタイマーも装着。
年を追うごとにコレクターズアイテムとしての認識が高まる初代NSX。そんな状況にありながら、速さや走りの楽しさをより引き出すため、本格的なチューニングが施された取材車両は潔く、貴重な存在だ。
PHOTO:篠原晃一
●取材協力:ペントルーフ 東京都大田区大森東2-28-2 TEL:03-5493-0840
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