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耐久性に支障の出ない範囲でさらなるパワーを追求!
オリジナルの制御データによりスーパーチャージャーの真価を引き出す
全日本ラリー選手権を戦う勝田範彦氏が代表を務める“ラック”は、ラリーマシンだけでなくサーキットを楽しむユーザー、ストリート派からも多くの信頼を集めている名門。とくに86に関しては、先代モデルから様々なチューニングアプローチを手掛け、豊富な経験に基づいて理論的なチューニングを提案。走るステージを問わず多くのオーナーに最適なマシンを提供してきた。
そんなラックのGR86は、これまでチューニングの基本とも言えるハンドリングやドライビングポジション作りといったチューニングに力を入れていた。しかし、登場から時間が経つにつれ、パワーチューニングのニーズも高まってきたという。そこで、HKS製のGT2スーパーチャージャーキットによるパワーアップを実践することとなったのだ。
もちろん、単純にキットを組み込むのではなく、そこからひと手間加えながらモアパワーを実現するのがラック流。なかでも、発売元のHKSでは不適合となっているコールドエアインテークを併用しているのは大きなポイントと言えるだろう。
エンジンルーム内の熱を遮断しつつ、レーシングサクションによる吸気効率アップを果たせるコールドエアインテークは、チューニングの基本として大きなアドバンテージとなる。スーパーチャージャー化しつつ、吸気性能もアップする組み合わせ、さらにエンジンルーム内の美観も備えられるというわけだ。
また、流入空気量を制限するリストリクターはキット標準ではΦ39、アップグレードしてもΦ43が限界だった。その点も、ラックではΦ45まで拡大してオリジナルのセッティングデータで制御。その結果、ノーマルインジェクターのまま323ps(TCF:1.15)というハイパワーを絞り出している。
排気系はHKSハイパワースペックLIIを組み合わせ、軽量化やサウンドチューンも行われる。基本的には市販パーツを組み合わせる、ユーザーライクな仕上げも参考になるポイントだ。
通常のフィルターよりも、1/7程度の油圧で濾過することができるハイスペックオイルフィルターはエルスポーツのオリジナルだ。
足回りは、ハウスブランドのエルスポーツサスペンションキットで武装。これまでストリート向けのセッティングで使用されていたが、パワーアップに合わせてサーキットスペックに仕様変更される。
エルスポーツ・ピロアッパーマウントは耐久性を考慮したNMB製の無潤滑、重荷重タイプのベアリングを採用することで、過酷な使用状況でも求める性能をキープしてくれる。
基本となる車体作りでは、デフマウントサポートを装着してトラクション性能の向上を狙っているのがポイント。取り付けも、フロアメンバーの脱着を必要としない形状のため短時間での装着が可能だ。
さらに、ブッシュのたわみによって損なわれるボディの挙動を抑え込むリアメンバーリジットカラーもインストール。アルミカラーによってガッチリとマウントを固定するパーツだ。
ホイールは軽量かつ高剛性のボルクレーシングTE37 SAGA SL(FR9.0J+52)をセット。タイヤはダンロップのディレッツァDZ102(FR255/35-18)今後、パフォーマンスアップに合わせてブレーキはエンドレスのキットを組み合わせていく予定だ。
レカロのスペシャリストという一面も持つラックだからこそ、シートはレカロ製で最適なアイテムをプランニング。運転席にはホールド性の高いRS-Gを、助手席にはコンフォート性を兼ね備えたSR-7をそれぞれセットする。
今回紹介した仕様は、耐久性なども含めて一般ユーザーに提供できるチューニングメニュー。サーキットだけでなく日常の通勤から買い物、ワインディングなどマルチに使える信頼性が確保されていることも注目だ。
ただし、やはり夏場の安心感を考えると冷却系のアップグレードは必須。今後はオイルクーラーをはじめとした冷却系の見直しを行い、さらに信頼性を底上げしたGR86を完成予定ということ。今後も、ラックGR86の進化は見逃せない。
●問い合わせ:ラック 愛知県長久手市岩作琵琶ケ池20-1 TEL:0561-63-0101
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