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トルク特性を大幅に改善する驚異の直列ツインターボ仕様!
ボンネットから突き出すT88タービンの衝撃
大きくくり抜かれたボンネットの上に突き出したT88H-34Dタービン。インデュースが正面を向いた、実に攻撃的かつ奇想天外なレイアウトには当然ながら訳がある。というのも、EXマニ直後にT78-33Dがセットされた直列ツインターボ仕様で、行き場を失ったT88Hは“ソコ”に配置する以外、選択の余地がなかったからだ。
手掛けたのは、パワーチューンを得意とするプロショップ“ガレージ八幡”。森田代表は「アメリカのPRIショーで、大小ふたつのタービンを直列に配置したツインターボ仕様を見たんだ。ディーゼルでは昔からあったけど、ガソリンエンジンで見たのは初めてだったから、どうしても自分で試してみたくなって」と、大胆な仕様変更に踏み切った理由を語る。
排気はEXマニ→T78→T88H、吸気はT88H→T78→インタークーラー…という経路を辿るこのレイアウト。大きいタービンから小さいタービンへと吸気が行われることを考えると、高回転域で詰まってしまうのでは?と思うが、森田代表の考え方はそうではない。
「T88Hの過給が立ち上がってきてゼロブーストに達すると、T78をアシストするようになる。つまり、1次排圧が下がる=高回転域でブースト圧がタレにくくなるってこと。ちなみに、T78シングル仕様は最大ブースト圧2.0キロ時に排圧が2.6~2.7キロまで上がるんだけど、T88Hと直列にすることで、それを抑えられるようになるんだよ」とのこと。
森田代表の読みに間違いはなかった。2.7L仕様のRB26DETTにこの直列ツインターボを組み合わせてパワーチェックを行ったところ、RB26DETTベースとは到底思えない驚きの結果が弾き出されたのだ。
一般的なT88H系のシングルターボ仕様は、正圧に入るのが4000rpm、フルブーストに達するのが7000rpmという特性なのに対し、この直列ツインターボ仕様は3000rpmで正圧に入り、5000rpmでフルブーストに到達。実用域が大きく下にシフトしているのである。
最高出力はブースト圧1.8キロ時に800ps。実走行面においても効果は絶大で、シェイクダウン状態だったにも関わらず、筑波サーキットでは58秒367を記録。キッチリとその性能を実証してみせた。
ちなみにこの車両はゼロヨンも行うため、アテーサET-S(4WD機構)のトルク配分を50:50から0:100まで手動制御できるサイドブレーキレバーを装備していたりする。
なお、直列ツインターボについてはコストがかかるチューニングのため「お客さんにオススメするメニューとは言えない」としながらも、やってみたいという人がいれば対応するとのこと。RB26DETTを未知なる領域へと導く仰天のターボチューニング、興味あるGT-Rオーナーは問い合わせてみてはいかがだろうか。
■SPECIFICATIONS
RB26DETT改2.7L仕様(最大ブースト圧1.8キロ)T88-34D(22cm2)+T78-33D(14cm2)直列ツインターボ/トラストサージタンク/700mmインタークーラーコア/ハイカム(IN280度11.8mmリフト EX290度11.8mmリフト)/東名パワード87φ鍛造ピストン、H断面コンロッド/HKS F-CON Vプロ/1000ccインジェクター/ボッシュ燃料ポンプ(ツイン)/ブリッツ SBC iD/OS技研クロスミッション 他
●取材協力:ガレージ八幡 愛知県半田市上浜町10-20 TEL:0569-26-1660
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ガレージ八幡
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