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過給機に頼らない218馬力の2.3Lハイコンプ仕様!
信頼性の高い純正パーツを中心にチューンドエンジンを構築
コンパクトで軽量なボディを武器に、サーキットでも突出したコーナリングスピードを見せつけるNC型ロードスター。しかし、S2000やFD2シビックといったVTEC勢に比べるとパワー不足は否めず、トータルタイムでは大差がついてしまうことも多い。
そこで、VTECに対抗できるパワーと速さを手に入れるため、名門“オーバードライブ”がデモカーのNC1で選んだのは、アテンザやMPVなどに採用されているL3-VE(87.5φ×94mm:2260cc)へのエンジン換装だった。
このメニューは、大きな加工や変更を加えることなく、基本的には補機類の交換のみで比較的容易に載せ換えられるのが強み。それでいながら、排気量はNCロードスターのLF-VEが2.0L(87.5φ×83.1mm:1998cc)であるのに対し、300ccも上乗せできるのだからハンパではない。
しかし、実はこの2.3Lエンジンをノーマルのまま換装しただけでは、EXマニなどで排気効率を向上させたとしても、出力は190ps辺りが限界。2.0LのLF-VEと同じく、高回転での頭打ちが顕著だし、モッサリとした加速フィールも気になる。何よりも最新スポーツとして台頭してきた86&BRZを粉砕し、VTEC勢と対等に走るにはもう少しポテンシャルを引き上げる必要がある。
そのため、オーバードライブでは、トルクフルな2.3LのL3-VEにパンチを与え、スポーツユニットとしての完成度を高めるべく、ハイカム+ハイコンプ化に着手。カムは十分にマージンを確保した東名パワードのポンカムを採用。これにより中間域の大幅な底上げを図っている。
ピストンは2.0LのLF純正を流用。ピストン径は2.0LのLF-VEも2.3LのL3-VEも87.5mmと同じで、ピストントップ形状などが異なる(右がLF-VE)。そのため、L3-VEに面研を施し、NC用LF-VE純正ピストンを組み込むことで、12.0:1にまで圧縮比を高めることができる。
クランクおよびコンロッドは2.3LのL3-VE純正が使われ、ロングストロークの94.0mmとなっている。画像は右側の短い方がNC純正、長い方がアテンザ2.3Lモデル純正。さらに高回転域でのサージング対策としては、バルブスプリングをマイナーチェンジで強化が図られたNC2純正に交換、リスクも最小限に抑えている。
燃料系では、燃料噴射量の調整幅を広げるためにデリバリーパイプを加工して大容量インジェクターをセット。数アイテムをテストした結果、現在はZ33のVQ35HR用を使っている。
なお、制御は純正ECU書き換えで対応。燃料噴射量のコントロールで十分なマージンを維持しながら、バルタイと点火時期を連動させたセットアップを行い、鋭い伸びとパワー感を演出する。レブリミットは7500rpmの設定だ。
排気系は、EXマニ&キャタライザーを組んだ上でマフラーにはオリジナルの両出しタイプを装備。テールにチタンパイプを採用することで、純正11.9kgに対して7.9kgまで軽量化を達成。サイレンサー内部はグラスウールを使用しない構造となっているため、劣化しにくくピュアなサウンドを作り出すことが可能だ。
増大したパワーを受け止めるべく、足回り&ボディチューンにも着手。オリジナル車高調の蹴脚(F10kg/mm R8kg/mm)は、税込で16万5900円というリーズナブルな価格とサーキットから街乗りまでこなせる懐の深さが魅力。取材時は別タンク式バージョンでフロント10kg/mm、リヤ7kg/mmのスプリングをセットしていた。
剛性面では、乗員保護を兼ねてロールバーを装着するが、フロア下もオリジナルの補強パーツを装備。ちなみにタイプA〜Dの4点で構成されるフロアブレスバーをはじめ、トラクションアップフレームやメンバーサポートなどが揃う。
このスペックの最高出力は実測218ps。ノーマルの実測値が155psだったことを考えると、過給機に頼らない王道のNAチューンながら、60ps以上の驚異的なパワーアップを達成したことになる。そのパワーを軸に各部をバランスよくチューニングすることで、NC型ロードスターはVTEC勢を撃墜できるレベルまで覚醒するというわけだ。
●取材協力:オーバードライブ 大阪府八尾市太田新町7-216 TEL:072-920-6888
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