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HKS DX30ターボとORC-TX04コンプレッサーを合体
低中速域からターボをアシストする唯一無二のツインチャージ!
HKSのDX30タービンキットの導入によって不足した低中速トルクをカバーしつつ、ターボパワーをさらに飛躍させるべく開発されたチューンドが、このツインジャージャー仕様だ。
手掛けたのは、過給機チューンを得意とする“トップシークレット”。無論、コペン用のスーパーチャージャーキットなどこの世に存在するわけもなく、オーナーの意向を考慮しながら試行錯誤の末に、スモーキー永田が創造した唯一無二のシステムである。
「JB型エンジンは660ccだけど4気筒でしょ。1シリンダー辺りの容積が小さいから、下のトルクって確保しにくいんだよね。そこにビッグターボを組んだら…想像付くよね。だからスーパーチャージャー化は必然なのさ」とはスモーキー。
とはいえ、狭いコペンのエンジンルームでツインチャージャー仕様を実現するのは、決して楽ではなかった。クランクプーリーの位置から、コンプレッサーの取り付け場所はバルクヘッドとエンジンの間しかない。しかし、そこにはパワステの油圧ポンプが鎮座している…。撤去してしまえば話は簡単だが「ストリート仕様だからパワステは意地でも生かす!」というスモーキーのチューナー魂がソレを拒絶。そう、自ら“いばらの道”を選択したのである。
最終的には、パワステプーリーをワンオフアダプターで15cm延長するという大作業まで必要になったそうだが、こうしてネガのないツインチャージャーは誕生したのだ。
スモーキーが選択したコンプレッサーは1.0Lクラス用のORC-TX04で、プーリー径によって最大ブースト圧は0.5キロにセット。
キモとなる電磁クラッチのオンオフ制御は、水温60度以上+エンジン回転数1300rpm〜4500rpmという条件が重なった時に駆動するようF-CON iSで綿密にセッティングしている。
一方のDX30タービンのブースト圧は、HKS EVCで制御(ハイモード1.1キロ/ローモード1.0キロ)する。
ターボチャージャーとスーパーチャージャーの間に設置されている、ブローオフ改のバイパスバルブにも注目だ。
スーパーチャージャーの作動領域では、ターボ→バイパスバルブ(閉)→スーパーチャージャー→エンジンという流れだが、4000rpmのスーパーチャージャー作動停止領域になると、ターボで加圧された圧縮空気はバイパスバルブ(開)から迂回路を通ってエンジンへとダイレクトで向かう。
ターボで加圧された吸気が、ロスなくダイレクトに燃焼室へと送られるようにレイアウトを構築しているのである。
さらに、スーパーチャージャーとエンジンの間にはリリーフバルブも設置。「どうやってもブーストが1.4キロくらいかかっちゃってさ。それの対策だね」とスモーキーが語るように、1.1キロ以上のブースト圧をここから逃がすのだ。
冷却系にも気を配り、インタークーラーは低圧損のHKS製Rタイプをインストール。その横にはエンジンオイルクーラーをマウントしている。
これらのチューニングによって、パワーは96ps/7200rpm 11.5kgm/4200rpmまでアップ。注目はトルクカーブ(青色)だ。わずか2000rpmで11kgmのトルクが生み出し、そのままターボへと切り替わる4000rpmまで追従。そしてターボへとバトンタッチしたと同時に最大トルクを発生させ、5000rpm以降までソレが持続している。
「エンジンルームが狭いからカタチにするのが大変だったよ。加えてオーナーから“純正エンジンカバーを装着できること”という難解な条件も提示されていたし…もう作りたくない! でも、けっこうピュンピュン走ってくれるようになったから満足かな。湾岸最高速は厳しそうだけど…」と相変わらずのスモーキー。さすがである。
●取材協力:トップシークレット 千葉県千葉市花見川区三角町759-1 TEL:043-216-8808
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