目次
素材を活かしたサーキットスペックを構築
老舗のセットアップで速さを引き出す!
先代モデルから引き続き、GR86とBRZの2台体制でオリジナルチューニングを展開している“カンサイサービス”。
GT志向の強いGR86はスーパーチャージャーを装着してストリート中心のハイウェイツアラーとしているのに対し、今回富士スピードウェイに持ち込まれたBRZは、リアルスポーツ的なベース車の特性を生かしたNA仕様のサーキットタイムアタッカーとして仕立て上げている。
NA仕様に拘っているのは、FA24エンジンを最高の素材と高く評価していることに加え、最小限の予算でサーキット走行を楽しんでほしいという向井代表の思いによるもの。
そのため、パワーチューニングはHKSのスーパーマニホールドとハイパワースペックLIIマフラーで排気効率を引き上げ、そこにオリジナルECUを組み合わせる程度に留めている。
なお、デモカーはHKSの空冷式オイルクーラーを導入した上で、フリクションロスの低減を狙って0W-20のエンジンオイルを選択しているが、0W-40なら純正の水冷オイルクーラーだけでもサーキット走行が可能だという。
足回りはHKSハイパーマックスMAX IV-SPベースのオリジナルスペック車高調でセットアップ。スプリングレートは標準モデル(F9kg/mm R10kg/mm)よりもハードな、フロント11kg/mm&リヤ14kg/mmの設定となる。
ホイール&タイヤは、アドバンレーシングRG-4(FR9.5J+45)とアドバンA052(FR255/35R18)の黄金コンビ。ちなみに、コストを抑えるならば8.5J+225/40R18の組み合わせがお勧めとのこと。ブレーキチューンはパッド変更のみで、プロジェクトμのスポーツタイプをセット。
さらに注目したいのが、クスコのタイプRSをベースにオリジナルセッティングを施した機械式LSDの存在。このLSDは絶対的なロック率だけでなく、効き始めのタイミングや過渡特性まで拘り抜いた逸品で、スポーツ走行での必需品と言っても過言ではない。
エクステリアは、高速コーナーでの安定性向上のためにボルテックスのGTウイングを追加した程度のシンプルメイク。ちなみに、ウイングステーは高さを抑えたカンサイサービスオリジナルとなる。
このBRZの富士スピードウェイ走行は取材日が初だったが、目標としていた1分58秒台をあっさりとクリア。名門チューナーの技術力は伊達じゃないのだ。
「トータルバランスの高さは流石! とくにこのBRZの大きな武器と言えるのが、サスとタイヤのセッティングがもたらす接地感の高さ。抜群の安定感で、ステアリングフィールも非常にナチュラル。誰が乗っても楽しく走れる仕様だね。向井代表が拘ったLSDセッティングも、好タイムのポイントとなっているはず。間違いなくGR86&BRZチューニングのお手本となる仕上がりだよ」とは、インプレッションを担当した菊池靖選手。
的確なパーツ選択と細かいセットアップにより、バランスが良く扱いやすい仕様へと昇華したカンサイサービスのBRZ。向井代表は今後もデータを蓄積しながらGR86&BRZチューニングを推し進めていくそうなので、その動向には注目だ。
●取材協力:カンサイサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL:0743-84-0126
【関連リンク】
カンサイサービス
http://www.kansaisv.co.jp