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心臓部は4.1L+GT1000タービンで1000馬力に到達
緻密なセッティングがステージを選ばない速さを実現
“カンサイサービス”のチューニングコンセプトは明快だ。シンプルに基本性能を向上させ、オールマイティに使いやすいこと。もちろんスタイリッシュさは欠かせない。それらは同社の矜持に近く、このR35GT-Rサーキットスペックにも色濃く反映されている。
チューニングは保安基準適合の範囲内、しかも軽量化は一切なしというセルフレギュレーションを敷いていながら、富士スピードウェイで1分42秒7を叩き出すハイスペック仕様。今回はこのスーパーチューンドの性能を探るべく、クローズドコースでの0-1000mアタックを慣行した。
VR38DETTエンジンはHKSキットで4.1Lへ排気量アップ。クランクジャーナルには表面強度と潤滑性向上のDLC、ピストンやピストンリングなどには強度を向上させるWPC加工を追加している。ヘッドもハイカム(IN&EX272度)の投入を軸にくまなく手が入る。
吸気効率を向上させるHKS製ハイフローサージタンクのバンク間に見えるデリバリーはフューエルアップグレードキットで、1000psに対応して合計12本の純正インジェクターで燃料を供給している。
タービンはHKSのGT1000フルタービンキットで、インタークーラーやパイピング類もキット付属品を装着。設定ブースト圧は1.8キロで1000ps&120kgmという強烈なパワーを引き出しているが、その他のパートも含めて全て市販パーツで構築しており、ユーザーカーにも再現可能な1000psとされている。
排気系はHKS製のEXマニとフロントパイプに、カンサイサービスの試作マフラーの組み合わせ。左右シングル出しの高効率レイアウトだ。
ハイパフォーマンスを受け止めるために、ブレーキも最高峰の性能を持つエンドレスのレーシングモノブロックを選択。ローターはフロント400mm、リヤ387mmのeスリットタイプだ。クーリング用のエアガイドも装備している。
車高調はハイパーマックスMAX-IVベースのカンサイサービスオリジナルスペック(F18kg/mm R14kg/mm)でセットアップ。ピロボールタイプのアームも追加し、トラクション性能と走行安定性の向上を実現させている。
前後共に片側25mmワイド設定のフェンダーに収められているアドバンレーシングGTは、前後とも11Jプラス5。タイヤはGT-R専用の最強ラジアルとして開発された285/35R20サイズのアドバンA08Bだ。
カンサイサービスのオリジナルシートレールを介して装着されるのは、サベルト製のフルバケットシートGT300M。ステアリングはナルディの340φで、ステアリングを切った際にパドルユニットをステアに追従させるMCRパドルシステムを装着。高級感のある厚手のフロアマットはオリジナルだ。
エクステリアはカンサイサービスのオリジナルで武装。構成はフロントリップタイプ2+試作アンダーパネル、カナード、サイドステップ、リヤアンダー、リヤディフューザー、リヤウイング、FRワイドフェンダー、セイボン製ボンネットだ。サーキットでのダウンフォース増強を狙ったセットアップである。
気になる0-1000mタイムは、ローンチコントロールを使わないノーマルスタートで17秒61(GPS計測)をマーク。ゴール地点での終速は306.95km/hに到達した。
ハイダウンフォース型のサーキット仕様とは思えないほどの速さだが、この記録は、圧倒的なパワーを扱いやすく制御しているセッティングや、クラッチミートタイミングの最適化など、細かいポイントがきっちりと煮詰められているからこそのもの。ステージを選ばない速さで、トータルパフォーマンスの高さを証明してみせたのだ。
●取材協力:カンサイサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL:0743-84-0126
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カンサイサービス
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