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重量配分向上のためにフロントミッドシップ化を敢行
シェイクダウンで53秒をマーク!
カーボンソアラの異名でお馴染みの「AutoBahn常陽不動産JZZ30」。2019年に記録した52秒454のベストタイムは、未だにJZエンジン搭載車の筑波最速記録だ。
実はこのマシン、Attack筑波への参戦は2020年が最後で、その後は欠場が続いていた。しかし2024年、長い沈黙を破りついに3シーズンぶりに筑波へ帰ってきたのだ。
「新たな車体(JZZ31)を用意して、イチから製作した完全なニューマシンです。前のマシンで15年間で蓄積してきたノウハウを全て投入して、30ソアラベースの最強スペックを目指しました。製作に着手したのは2年前で、先日完成したばかりです!」とは、ビルダー兼ドライバーの坂東さん。
何と言ってもニューマシンで拘ったのは、フロントヘビーな前後重量バランスの改善のために採用されたエンジンのフロントミッドシップ化だ。搭載された2JZ-GTEエンジンは、バルクヘッドを貫いて純正搭載位置から約20cmも後方にオフセット。これにより、前後バランスは理想的な51:49(前のマシンは56:44)を実現した。
前のマシンから唯一のキャリーオーバーと言えるのが、エンジンスペックとミッション。2JZ-GTEはNAヘッドを組み合わせた3.1L仕様で、タービンにはギャレットG42-1450をセット。スロットルは大口径のフライバイワイヤー式となっている。
冷却系のレイアウトも見どころだ。前のマシンではリヤラジエターとしていたが、重量配分の改善で冷却系パーツを全てフロントに設置。車体上部側からインタークーラー、ラジエター、エンジンオイルクーラーを水平でマウントしている。
コクピットにおける最大の変更点は左ハンドル化だ。これは、排気系のパイプレイアウトを優先させた結果で、ソアラの輸出仕様(レクサスSC300)のステアリングラックなどを流用して達成したそうだ。
カーボン製のダッシュパネルはエンジンの後退によりセンター付近が大きく膨らんだ形状となっている。ミッションはオーストラリアのアルビンス製シーケンシャルで、モーテックM800制御によるパドルシフトを採用している。
フルカーボン製のエクステリアも完全な新作。ホイールベースに変わりはないが、片側50mmのトレッド拡大に伴いさらなるワイドボディ仕様となっている。GTマシンのような目の大きな平織りカーボンの採用も坂東さんの拘りのひとつ。車重は、前のマシンよりも軽い約1100kgだ。
完成してから本格的な走行は3〜4回のみというシェイクダウンに近い状況ながら、Attack筑波ではあっさりと53秒786を記録。その走行で判明した課題は足回りの煮詰めだ。スピリット製のスペシャルダンパーにはフロント50kg/mm、リヤ46kg/mmのスプリングをセットしていたが、まだまだレート不足でコーナーでエアロの路面接触が発生していたという。
もちろん坂東さんがこのカーボンソアラで目指すのは、オールオーバーでのラジアル最速の座だ。打倒ファイヤー安藤に向けての今後の進化から目が離せない。
●取材イベント:Attack筑波2024