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GR86のようで、ベースは先代のZN6!
心臓部にはフルチューンのREターボを換装
鮮やかなイエローのボディカラーで彩られたこのGR86は、千葉県香取市に店舗を構えるボディショップ“ガレージヤマグチ”が製作した魔改造スーパーチューンドだ。見どころはエクステリアと心臓部、それぞれのディティールに迫っていこう。
初見ではオールペイントされたGR86に思えるが、それは大きな間違い。何と、先代モデルのZN6型に現行型であるZN8のエクステリアを移植したスワップ仕様なのである。
それほど労力せずにGR86化が完成すると思って作業をスタートしたガレージヤマグチ山口代表だったが、その目論見はすぐに打ち砕かれることとなる。
「仕上がりには満足していますが、二度とやりたくない(笑) 安易にスタートして“泥沼”にハマったパターンですね。フロントフェンダーの立ち上がりの高さは違うし、ピラー角も違うし、ルーフ形状も違う…。最終的にドア以外の外板パネルは全てZN8用を加工装着しましたが、ZN6改ZN8化はコスト的に見合わないということを痛感しちゃいました!」と山口代表。
エクステリアは、T&Eの超EDGEワイドボディキットを軸に構築。ボンネット、ルーフ、トランクフード、左右ドアパネルはドライカーボン製に置き換えて軽量化済みだ。ヘッドライトを始めとするライティングパーツは全てヴァレンティのアイテムをインストールしている。
エンジンはFD3Sの13B-REWを移植。ショーカーレベルのエンジンベイを徹底追求し、各種パーツのレイアウトはもちろん、ハウジングは一度研磨してから塗装を施すなど手の込んだ作り込みが光る。ワイヤータックも駆使した美麗なシェイブドベイを実現させた。
エンジン内部は、3ピースアペックスシールを組み込んだブリッジポート仕様。サージタンクもユーノスコスモ用に交換され、とにかく多くの空気をエンジンに送る仕組みだ。スロットルはボッシュの80φ電子制御式で、点火系もMSDのシステムでダイレクトイグニッションへとアップデートしている。
組み合わせるタービンはJPターボのB750X。合わせて燃料系も見直し、最高出力は500psに達するというから恐れ入る。
エンジンマネージメントはLINKのG4Xエクストリームが担当。さらに、電気系統はAimのPDM32(ヒューズ機能が盛り込まれたスイッチング&ブレーカーボックスのPDMモジュール)によってイチから再構築するなど、最新のチューニングアプローチを惜しげもなく投入している。
足回りはDG-5のRGNスペックでセットアップ。アーム類もフルでマックスレーシングの調整式(ZN6用)に置き換え、セッティングの幅を広げている。なお、ドリフトでの使用を想定しているため、リヤブレーキは油圧サイドの経路を備えたツインキャリパー仕様としている。
深リムのホイールは、クリーヴレーシングのエスエス53(F18×9.5J+18 R18×10.5J+15)。タイヤにはヴァリノのペルギア08R(F225/40-18 R265/35-18)を組み合わせる。
室内はスパルタンでありながらも、目を見張るほど美しい作り込み。ミッションはFD3Sの5速にOS技研のフルクロスを組み込んだカスタムメイド。細かい部分であるが、メインメーターはAimのデジタルダッシュロガーを純正位置に収めている。
ボディは溶接留めロールケージによって大幅に剛体化。リヤシートはキャンルされ、設置されたクロスバー&ガゼット補強は見た目のインパクトも強い。
「自分の主な活動フィールドであるドリフトはもちろん、ロータリー系イベントや86&BRZミーティングなどにも対応できるデモカーを作りたかったんです。これまでは公認車検を取得できる範囲の改造に拘っていましたが、積載車を所有していますし、ストリートでドリフトすることも無いので、今回は競技専用車として作り込めました」と熱く語る山口代表。
経験豊富な鈑金職人が、そのノウハウを注ぎ込んで創出した魔改造スペック。その正体は、単なるショーカーではなく、全力で走りを楽しめるマルチさまで持ち合わせた“完璧で究極”のチューニングカーだったわけだ。
●取材協力: ガレージヤマグチ 千葉県香取市伊地山847−110 TEL:0478-79-7737
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