「環状族と呼ばれた男たち」これがリアル“ナニワトモアレ”の世界だ!

2014年、大阪環状伝説

まさにリアル「ナニワトモアレ」の世界だ。「環状族」はすでに都市伝説的なものとなっているが、たしかにあの頃、彼らはあの場所にいた。そして目に見えぬ何かに抗うように、1周10.4kmの巨大なステージを走り続けていたのだ。(OPTION2誌2014年8月号より抜粋)

4車線の公道周回路を自由自在に駆け抜ける!

VTEC特有の甲高いエキゾーストサウンドを響かせながら、1周10.4kmの巨大な公道周回路を攻め続けるチューンドホンダの群れ。

ハザードランプを点滅させたまま、全車線を自由に使って走るその光景は、まるで数十年前にタイムスリップしたような、はたまた漫画やアニメの世界に入り込んだような非日常的で刺激に満ち溢れていた。

「昔ほどキレた連中はいないし、クルマのチューニングレベルも高くない。全盛期の環状とはまるで雰囲気が違う。あの頃って喧嘩ばっかだったでしょ(笑) 今はチーム同士の関係が険悪じゃないから、走ってる時はもちろん、エンジン切ってこうしてダベってる時間も楽しいよ」とは、常連の一人。

大阪環状のピークは1980年代。有名無名のチームがこのステージで暴れ回っていたが、1980年代後半あたりからチーム同士の抗争や事件が急増。死亡事故も増え、無法地帯と化しつつあった大阪環状であったが、警察による取り締まりの強化やバブル景気の終焉など、複合的な要因の重なりにより一気にブームが衰退していった。それ以来、環状族の姿を見る機会はなくなったのである。

しかし近年、またライトチューンのホンダ車で走り始める新世代が増えてきたことから、徐々にその輪が広がりつつあるそうだ。一月に数回程度、こうしてまとまった台数が集まって舞台に上がるのだという。

この日走っていたのは、ローブレイクとノーグッドレーシングのメンバー。どちらも1980年代から続く老舗チームなのだが、中には10代と思われる女子のEG乗りもいた。

ちなみに、最近はビデオカメラによる取り締まりも行われるため、マスクやフードなどで顔を隠して走るのが鉄則とのこと。レーシンググローブの装着率が高かったのも印象的だ。

車両はEF〜EK型シビックが大半。内装ドンガラにロールケージは定番の仕様で、B18Cエンジン換装仕様などもいる。写真の派手なレッドブルカラーでペイントされたEF9はレース車両をベースに製作されたもので、安全タンク&Sタイヤ装備のフルスペック仕様だ。

表面的には「環状族」はすでに都市伝説的なものとなっているが、現在でも全盛期から続くチームが幾つか存在しており、新たな勢力も生まれている。そして彼らは、今なお走り続けているのである。(OPTION2誌2014年8月号より抜粋)

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