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全域レスポンス型の116馬力が面白い!
ポン付けターボキットで扱いやすいビッグパワーを実現
HA36S型のアルトワークスと言えば、その素性の良さゆえに2015年の発売当初から様々なメーカー&ショップが手掛けてきたチューンドベース。チューニングメニューは多岐に渡るが、その中でも見逃せないのがHKSの提案するポン付けターボキットだ。
開発がスタートしたのは2019年のこと。2年ほどの歳月をかけて製品化にこぎつけのがこのGT2912_bタービンキット(25万3000円)だ。100ps〜120psをターゲットに設定しており、純正品と比べてコンプレッサーハウジングおよびエキゾーストハウジングを大型化して風量を高めている。
エキゾーストハウジングは出口径を5mm拡大することで排圧低減を図る一方、ブレードの翼枚数を増やして低回転域でのレスポンス低下を回避。また、強化アクチュエーターを標準装備することで、1.4キロというハイブーストにも対応している。
デモカーはエンジン本体ノーマルのまま、スーパーパワーフローや試作フロントパイプ、試作インタークーラーなどを組み込みつつGT2912_bタービンをセット。ブースト1.4キロで116ps&16.8kgmを発生させる。
セッティングはフラッシュエディターにて行われており、ブーストのみEVC7で設定。116psという大パワーを発揮しながらも、ピークトルク発生回転は3700rpm。低速からキッチリと立ち上がることで、乗りやすさも両立させているのだ。
排気系はフルチューンと呼べる内容。試作のメタルキャタライザーと、第2触媒レス仕様となっている試作の50φフロントパイプに、スーパーターボマフラーという組み合わせだ。
足回りはHKS必殺のハイパーマックスS(FR3.0kg/mm)を装着。この車高調は、独自のデュアルプリロードバルブシステムを軸に、究極の乗り心地とハンドリング性能を追求したモデルだ。
ホイール&タイヤは、前後ともアドバンレーシングRZII(FR5.5J+45)に、165/55R15のアドバンネオバの組み合わせ。通常なら申し分ないチョイスと言えるものの、約700kgの軽量ボディに116psという大パワーが盛り込まれたため、グリップ力はまだまだ不足気味なのだとか。
筑波サーキットでこのチューンドを走らせたレーシングドライバーの木下みつひろ選手は「超パワフル! ネオバでもグリップが足りなく感じるし、機械式LSDも入れないと加速が楽しめないくらいで、とにかく速い! 高回転域もさることながら、中間のピックアップの良さはスイフトスポーツ並みだから、駆動系に手を入れれば化けるだろうね」と大絶賛。
続けて「5速で筑波の最終コーナーを回っても踏めば加速してくれるし、通常は3速の1コーナーも4速で問題なし。低回転のツキも良いから扱いやすい。サスペンションは、フロントのバンプ側の動き始めを少し調整したいけど、減衰力をイジれば十分対応できそう」と語ってくれた。
アルトワークスで100ps弱を狙うキットは数多く存在するが、今回紹介したHKSのデモカーはさらにその上を狙うオーナーへの提案という位置付け。軽量コンパクトなボディに刺激的な走りを詰め込んだ“ボーイズレーサー”的仕上がりを、令和の時代でも楽しめる貴重な製品と言えるだろう。
●問い合わせ:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235
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