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90年代の雰囲気をエッセンスに唯一無二のRX-7へと昇華させる!!
走行距離8000km!? 極上レベルのベース車をフルチューン
溜め息が出るような美しさだ。このFD3Sは、最終6型がベース。しかも走行距離はわずか8000kmという超極上の個体だ。今のご時世、気弱な庶民(!?)だと「チューニングするにはちょっと…」と動態保存に走りそうなレベルだが、オーナーは理想の走りとスタイルを求めて全方位に手を入れたのである。
実のところ、このFD3Sは名門チューニングショップ“RE雨宮”と、GT500やスーパーフォーミュラに参戦している“B-MAXレーシング”がタッグを組んで製作したコラボレーションマシンだったりする。それぞれが得意なジャンルを担当し、究極のセブンを作り上げたわけだ。
極上ボディを惜しげもなくフルストリップ状態までバラして、B-MAXがレーシングカー製作のノウハウを注入しながら補強を実施。そうして生まれ変わった剛強ボディをRE雨宮に持ち込み、メカニカルパートのモディファイを敢行したそうだ。
50代の熟年オーナーがマシン作りで掲げたコンセプトは“青春時代の雰囲気”だ。そこでエクステリアは、FD3Sオリジナルのスタイルを生かす狙いで、あえて前後片側20mmワイドと控えめなRE雨宮GT-ADキット(バージョン1)を軸に構築。フロントはフェイシャーN1バンパーにアンダースウィープとツインカナードを追加、ヘッドライトはRE雨宮のアイデンティティーでもあるスリークライトで固定化している。
また、ボンネットやリヤゲート、GTウイングは全てドライカーボンによる逸品。リヤウインドウはポリカーボネイド製で軽量化を徹底。
サスペンションはオーナーの好みでクァンタムのT4LM車高調をセットし、ブレーキにはブレンボのレーシングキットを装着。前後10J×18+38のエンケイNT03RRには、265/35R18のアドバンA052が組み合わされる。
攻撃的なエクステリアとは対照的に、コクピットはストリート然とした印象。ダッシュボードやドアパネルなどはアルカンターラで張り替えられ、シートやフロアマットはレッドで統一。近年、RE雨宮が手がけるチューンドはデジタルダッシュメーターをインストールするケースが多いが、このマシンはあえて助手席前に3連追加メーターを装着してかつてのチューニングカーらしさを演出している。
リヤのラゲッジスペースも全てアルカンターラ仕様となる。ここまで美しく仕上げられたFD3Sは、世界中を探してもなかなか見つからないだろう。
一方の13B-REWエンジンは、RE雨宮謹製のサイドポート拡大加工を実施。合わせてスロットルボディも拡大され、吸入効率アップを狙う。特徴的なレイアウトのインタークーラーはVマウントを実現するLEVELマンキット。LINKフルコンで綿密に制御し、最高出力は500ps/50kgmを発揮している。
タービンはウエストゲート式のギャレットTO4Zをセット。サイドポート拡大仕様との相性も良く、ピックアップに優れるパワー特性に仕上げられている。
名門同士のコラボレーションで誕生した超美麗FD3S、もはや存在自体が奇跡としか言いようがない。
PHOTO:Shinichi TSUTSUMI
●取材協力:RE雨宮 千葉県富里市七栄439-10 TEL:0476-90-0007
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