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普通車のセフィーロを農薬散布車へとモディファイ!
小型特殊ナンバーを取得した奇想天外マシン
”小型特殊自動車”という区分は、フォークリフトやショベルカー、農耕用のトラクターなど、俗に言う働くクルマを指す言葉だ。
これらの車両は、決められた作業場内で稼働させることが決まりだが、移動のために公道を走るケースもある。だからこそナンバープレートが存在しているわけだが、その小型特殊自動車としてナンバーを取得したのが今回紹介するA31セフィーロだ。
当然、登録には車体のサイズや最高速度などの規定が存在する。しかし、逆に言えばそれ以外はあまり細かい規定が無いのも事実だ。例えば排気量は無制限、車検や車庫証明もない上に、税金も自治体によって変わるものの2000円程度の軽自動車税のみ。
では、どのように小型特殊自動車として登録したのかというと、”最高速度15km/h(構造的には35km/h未満)”という要件を満たすために、このセフィーロは自作シフトゲートで1速とリバースギヤ以外に入らないよう細工してスピードを制限。
さらに農耕用作業車としての要件を満たすために、ウォッシャーノズルをリヤバンパーに設けた上で、農薬用のタンクをトランクに設置。これを農薬散布用という扱いにすることで無事に規定をクリアしたのだ。
各市町村によって交付される『標識交付証明書』が、普通自動車でいう車検証のようなもの。車体番号を見るとA31の文字があり、車名は“ジサク(自作)”、車種は“小型特殊車両(農耕用)”となっていた。自賠責保険に加入する必要もないそうだ。
ちなみに、この車両は元々NA車だがドリ車として使用していた過去があるため、エンジンはRB20DETにスワップされている。今となっては、全くの無意味なのだが…。
農耕用車両ではあるもののロールケージやブーストメーターが配備された室内。こうしてみると、シフトゲート以外は完全にチューニングカーのそれだ。
車体の大きさが”全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.8m以下”という小型特殊自動車の規定サイズ内に収まっていれば、大型のGTウイングが付いていても問題無し。もちろん空力が影響する速度では走れないため、ただの飾りである。
畑でRBサウンドを奏でながら農薬を散布するセフィーロの姿を想像すると笑えてくるが、これもまた合法チューニングカーの一例。ともあれ、あえてドリフトベースで小型特殊自動車登録に挑んだオーナーの情熱に感服だ。(OPTION2誌より抜粋)
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