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新たな伝説が、いま始まる。
デザインはそのままに現代のホイール解析技術を投入
1977年に、国産初の鍛造3ピースホイールとして発売された“ウェッズ”の「レーシングフォージ」。そんな幻の作品が、創立60周年という大いなる節目を飾るアニバーサリーモデルとして復刻発売されることとなった。
当時、鍛造3ピースは工業的にも初の試みであり、最先端技術を駆使した超高級ホイールだったため、普段履きで買えるような人はごくわずか。今でも「歴史的に価値のある工業製品」として、オリジナルのレーシングフォージを新品のまま保管しているマニアがいるほどだったりする。
まさしく伝説。だからこそ、生半可な覚悟で取り組むことはできない。担当したウェッズの柴崎さんは、社内に残る資料を集めることから始めるものの、当時のカタログ以外にデータは皆無。ホイールのCADデータはおろか、レーシングフォージのロゴデータすらなく、現存するホイールから採寸したり、カタログから情報を読み解いたり…と、現代のホイール開発からはおよそかけ離れたアナログな作業から始まったという。
さらに、当時と現在で大きく違うのが「ホイールに関する安全基準」の規格。現在のホイール規格に合わせると当時と全く同じ形状や重さで作る事は不可能で、可能な限り近い軽さにするため、13インチは敢えて公道使用不可のレース専用モデルとすることを決意。もちろん、公道で使いたいというニーズにも応えるべく、14&15インチはJWL/VIA規格を満たす強度を持たせて開発している。
ディスク面の作りも異なる。昔は3000トンのプレス鍛造で成型していたが、復刻版はT6061鍛造素材をNC旋盤による削り出しで製造。意匠は似ているものの、プレス鍛造特有の角が丸くなったデザインではなく、エッジが効いた現代的な顔つきへと進化しているのだ。
また、オリジナルは「リムも鍛造」と謳われていたが、社内資料や製法を検証していくと、当時もスピニングリム製法だったことが判明。現在は「鍛造」と「スピニング」の表記を使い分けているため、復刻版はスピニングリムと表記している。リムの接合は、13インチのみ接合部にシール剤を塗布してリムが曲がってしまった場合の交換に対応。14、15インチは溶接している。
ピアスボルトの形状はもちろん、台座の形状、数まで完全再現。ただし、当時はラインナップに無かった15インチは、ピアスボルトの数を増やして違和感の無いルックスを構築している。
透明なベースに文字をプリントし、かつての質感を再現したリムステッカー。なお、当時は貼る位置が決まっていなかったが、復刻版はバルブを下にして7時の位置に統一されている。
レーシングフォージは2タイプのディスクが存在し、4本スポークのNと、ディッシュタイプのFだ。また、ディスクカラーはゴールドの他、Nにのみレッドが設定される。
ヴィンテージ感溢れるデザインの奥に見え隠れする作り手の想いと最新のテクノロジー。温故知新にしてレトロフューチャーの傑作、魅力的すぎる1本が登場したのだ。
製品仕様
Weds RACING FORG
13×8.0J〜9.0J:9万3500円〜9万6800円
14×7.0J〜11.0J:価格未定
15×6.0J〜11.0J:価格未定
●問い合わせ:ウェッズ TEL:03-5753-8201
【関連リンク】
ウェッズ
http://wedssport.jp