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300km/h超えも可能な高級グランドツーリング!
600馬力を絞り出す7Mツインターボユニット
国産車初の本格的スペシャリティクーペとして爆発的人気を誇った初代の後を受け、1986年に登場したのが2代目Z20系ソアラ。
3.0L直6DOHCターボ、7M-GTEU(230ps/33.0kgm)搭載の3.0GTリミテッド/GTを筆頭に、2.0L直6DOHCツインターボの1G-GTEU(185ps/24.5kgm)を載せる2.0GTツインターボ、そのNA版1G-GEU(140ps/17.6kgm)を積む2.0GT…と、様々なバリエーションが用意されていた。
東京都町田市に店舗を構える実力派チューニングショップ“マテリアルオート”が手掛けたこのMZ20は、最上級グレードの3.0GTリミテッドがベースで、300km/hオーバーも可能なスペックが与えられたリアルチューンドだ。
内外装のコンディションが信じらないほど良く、まるで当時にタイムスリップしたかのような感覚に陥るレベルなのだが、注目すべきは心臓部だ。
以前は、腰下からヘッドまでくまなく手を入れた3.0LユニットにT78シングルターボを組み合わせた700ps仕様だった。しかし、それはあくまで究極的なパワーを狙った限界スペック。7Mエンジンの腰下の強度を考えると600ps以上はリスクが高すぎるため、仕様変更に踏み切ったのだ。
新たにチョイスしたタービンはTD05のツインだ。その気になれば600psも狙えるスペックだが、普段は500ps(ブースト1.3キロ)まで抑えて負担を低減。それでもピークパワーを落とした分は、しっかりとレスポンス側に振ることで、他車との加速バトルでも不足の無い戦闘力を確保している。
ツインターボから押し込まれる圧縮空気は、ワンオフのサージタンクを介して6連スロットルへと導かれる。各種パイピング類も強固にフィッティングされ、常用500psでもトラブルフリーの使い勝手を実現している。
メイン100φのエキゾーストマフラーはマテリアルオートのオリジナル。刺激的な7Mサウンドを響かせてくれる。
バー式タコメーターとデジタルスピードメーターが当時のトヨタ車の象徴。バックスキンで覆われたインパネ周りや毛足の長いカーペット類による吸音効果もあって、ロードノイズは驚くほど静かだ。
センターコンソールにデフィの追加メーターやA/F計、ブーストコントローラーなどを美しくレイアウト。カロッツェアリアの1DINオーディオを含めて、往年のチューンドを感じさせるポイントだ。
足元を飾るゴールドのBBS LMは19インチ(F8.0J R9.0J)。いつでも全開で走れるようにタイヤは前後アドバンネオバ(F225/30-19 R255/30-19)をチョイスしている。
フェンダーはソアラ乗りでも気付きにくい5mm叩き出し仕様だ。なぜ5mmかと言うと、純正のフェンダーモール装着への拘りを貫くため。このような細かなメイキングの積み重ねが、目利きの走り屋をも唸らせるオーラを生むのだ。
これまで数え切れぬほどの仕様変更を行いながら進化させてきたミントコンディションのソアラ。一途なオーナーの深い愛情はもちろん、バランス重視で仕上げたことがよく伝わってくるスペックだ。
●取材協力:マテリアルオート 東京都町田市小山ヶ丘3-3-11 TEL:042-798-1435