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オーナーの深い愛情に包まれたチューンドFC3S
完全な状態で動態保存を続ける600馬力のゼロヨン仕様
この美しい深紅のFC3Sは、ゼロヨン全盛期に“フジタエンジニアリング”でチューニングを受けた車両だ。パワーを求めてステップアップを重ねた結果、最終的に600psを絞り出すブリッジポート+T51R-BBタービン仕様にまで進化。オーナーは、このFC3Sでゼロヨン10秒台を目標に掲げ、大会にエントリーを繰り返していたという。
しかし、家庭環境の変化(結婚等)により、いつしか時間や予算をチューニングに割くことが難しくなってしまう。大半はここで愛車を売却して家族向けのミニバンへ…となるのだが、このオーナーは車両を手放さないどころか、FC3Sへの深い愛情を途切らすことはなかった。
チューニングのステップアップこそ止まったものの、完全な状態で動態保存するために専用ガレージを用意。定期メンテナンスを怠らず、即ゼロヨン大会に出場できるレベルをキープし続けたのだ。
細部を見ていく。スチールのパイピングやレイアウトなど、基本的なチューニングスペックは当時のままだが、定期メンテナンスのおかげで不具合知らずとのこと。最高出力も、製作時と変わらず600ps(最大ブースト圧1.2キロ)を維持しているというから恐れ入る。
タービンは当時国内最大サイズを誇ったウエストゲート式のHKS T51R-BBだ。最大ブースト圧は1.2キロの設定となる。
エンジン本体は13B-Tだが、フジタエンジニアリングオリジナルのアダプターを介して13B-REW用のサージタンク&スロットルを移植。これは、FC3Sで高出力を狙う際の定番チューニングだ。
エキゾースト環境もフジタエンジニアリングの製品でコンプリート。80φフロントパイプ→94φマフラーと、フルチューンロータリーの性能を引き出せる容量が確保されている。
リヤゲートには無数のHKSドラッグミーティング車検ステッカーが…。日付を見ると、2002〜2004年がこのFC3Sの全盛期だったことが分かる。
エンジンルームのブレーキマスターには、HURST製ブレーキラインロックを割り込ませている。スイッチ操作でフロントブレーキのみをロックさせることができるゼロヨン専用パーツだ。
ストリート仕様のため、大幅な軽量化は行わずエアコンやパワステも完備。追加メーターはトラストで統一し、センターコンソール上には定番の120φオートメーターを設置。装着パーツやレイアウトなどが当時仕様を物語る。
リヤフェンダーは片側30mmのワイド仕様だが、言われなくては分からないほど自然なラインで仕上げられている。ブレーキは日産マルチキャリパー+FD3S(17インチ用)ローターの組み合わせで強化済みだ。
家庭環境がどんなに変わろうとも、愛情を注ぎ続けて当時のチューニングスタイルを保ち続ける。オーナーとFC3Sの二人三脚はまだまだ続いていきそうだ。
●取材協力:フジタエンジニアリング 大阪府堺市東区八下町1丁82-1 TEL:072-258-1313
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