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1.6L強化+T78-33Dタービンで450馬力を絞り出す!
サーキットでは第二世代GT-Rを置き去りにする速さ
このやる気満点のEG6は、かなり特殊な方法でVTECターボの可能性を追求した仰天チューンドだ。細部を見ていこう。
装着するタービンはトラストのT78-29D。この大きさのタービンなら排気量を上げているのだろうと思いきや、1.6Lのままだったりする。当然、1.6LにT78タービンの組み合わせとなると「低回転域ではスカスカなのでは?」という疑問が湧く。
「VTECって上は良いんですけど、高速カムに切り替わるまでがモタつくんですよね。その領域をターボで補おうと思って。まぁ、T78だとパワーバンドは狭くなりますけど、ECUセッティングやギヤ比で、その問題も解消できます」とはオーナー。
最高出力はブースト1.0キロ時に400ps。ハイブーストにも耐えられるようにエンジン内部も強化済みで、スクランブルブースト1.5キロ(450ps)までセッティング済みだ。
なお、エンジンは低重心化のために50mmほど搭載位置をダウン。FFの場合、エンジン位置を下げるとドラシャへの負担が大きくなってしまうのだが、そこは角度を持たせることで解消しているそうだ。
ワンオフのサージタンクは、ノーマルに対して倍以上の容量と半分以下の吸気管長が特徴。これにより高回転時の効率、アクセル&タービンレスポンスの向上を実現している。また、スロットルはインフィニティの90φを使用。吸気効率を大幅に引き上げている。
制御系にはトラストのeマネージを使用。もちろん、F-CON Vプロ等のフルコンで制御した方がセッティング面では有利なのだが、サブコンでもここまでの仕様に対応できるということをアピールする狙いもある。
EG6はエアコンのコンデンサーが邪魔になるため、全面タイプとなる大容量ラジエターは基本的に装着できない。この車両はエアコンレスだが、そのスペースをタービンが占領しているため、リヤにサブラジエターを装着。オーバークールにならないよう、手動バルブを設けてバイパスの開閉を任意で行えるようにしているのもポイント。
ハイパワー化への対応、そして旋回性能をさらに高めるべく、フロントフェンダーをブリスター化して225サイズを装着。さらにブレーキはフロントにDC5純正のブレンボ、リヤにはDC2インテグラ98スペックのキャリパーを移植。フロントはキャリパーのみの流用が出来なかったことから、ハブごと交換されている。車高調はクラックスでバネレートはフロントが22kg/mm、リアが18k/mmだ。
完全サーキット仕様ということもあり、エアコンやオーディオ、さらにパワステも取り外している。ロールケージの装着やターボ化に伴う重量増がありながらも、車重は1010kgまで絞り込まれている。
鉄板ムキ出しの室内には、ワンオフとなる20点式のロールケージが張り巡らされている。もしも…という時の乗員保護と、ボディの剛性アップに貢献する。
外装も完全なサーキット仕様の風格。ダクト付きのカーボンボンネットやフロントリップスポイラー、ブリスターフェンダー、GTウイング、リヤバンパー&ディフューザーは全てワンオフだ。
ちなみに、ブースト1.0キロ(400ps仕様)でテストしたところ、軽さによるコーナリング性能も相まって、セントラルサーキットでは500psのGT-Rも置き去りにする速さを発揮したという。高回転での伸びがウリのVTECエンジン。しかし、ストレートでの絶対的な加速&コーナー立ち上がりにおいてはどうしてもターボ車に分がある。その弱点を克服した異端なるビッグシングルターボ仕様のEG6、魅力的すぎるだろう。