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NAメカチューン仕様のVQ35DEを搭載した魔改造GT-R
オーバー350馬力を達成した高回転型ユニットで勝負!
時は2006年。Z33に搭載されたVQ35DEのエンジンチューニングが盛り上がる中、BNR32にVQエンジンを搭載し、独自の哲学でNAチューンの可能性を追求していたのが、スモーキー永田率いるトップシークレットだ。過給機搭載がパワーアップの正攻法となりつつあった当時、NA6スロ仕様で350psオーバーを達成したこのハイレスポンスマシンがチューニング業界へ与えたインパクトは、非常に大きいものだった。
エンジンルーム内で存在感を主張する6本のエアファンネル。このBNR32は、VQ35DEのNAチューニングを進めていく上で大きな壁となる“吸気系の容量不足”を独自の6連スロットルキットで解決した“トップシークレット”のテストカーだ。
「NAは回転馬力。パワーとトルクを稼ぐには何より吸気が重要なんだ。ノーマルは7000rpmでリミットでしょ。ちょこちょこイジっていくより、一気に6スロ化しちゃった方が違いもハッキリ出ると思ってさ。ベースをBNR32にしたのは…余ってたからだよ(笑)」とスモーキー永田は言う。
細部を見ていく。エンジン本体は純正加工ピストンをはじめ、ニスモスペック2カム(IN284度11.0mm/EX268度10.5mm)やバルブスプリング、チタンリテーナーなどでチューニング。VTCをキャンセルしてオリジナルのスライドカムスプロケットを装着しているのが特徴だ。
スロットルのバルブ径は48φ。これが各シリンダーに独立して装着されるわけだから、純正66φは言うまでもなく、例え相手が大径100φだとしても、シングルスロットルである限り、吸気量や吸気干渉の面で6スロが圧倒的に優位なのは明らかだ。なお、スロットル制御は電子制御式からワイヤー式に変更されている。
45φのパイプを等長3-1構造にしたエキゾーストマニホールド。スロットル類や吸気管長と並んでNAチューンの特性を決める大切な要素のため、妥協せずに製作したという。
エンジン制御には、自由度が高いF-CON Vプロを採用。綿密なマネージメントにより、レブリミットは約9000rpm、8400rpm程度までパワーが追従する特性に仕上げている。
エアロチューニングも徹底。バンパーの左右開口部から入った走行風は、ヘッドライト後方のエアクリーナーボックスを通過し、ボンネット裏のダクトから各スロットルへと送り込まれる。計算し尽くされたその吸気経路が、6連スロットルの効果を最大限に引き出してくれるのだ。
「6連スロットルの真上にあるエアダクトにフラップをつけたんだけど、これをアクセル全開のときだけ開くようにして走行風をダイレクトに取りこみたいんだ」とスモーキー永田。このギミック、あまりにもカッコ良すぎる!
デフィのオールインワンメーターDSSCがコンバートされたコクピットも新鮮。質感向上もマシンメイクにおけるコンセプトのため、エアコンやオーディオ等の快適装備はフル搭載だ。
足回りは、アラゴスタベースのオリジナル車高調を装着。スプリングはスウィフト製で、フロント12kg/mm、リヤ9kg/mmというストリート重視のレートだ。アッパーマウント部には、スイッチ操作によりエア圧で瞬時に車高を上げ下げできるロベルタカップも組み込まれている。
このメカチューンユニットのパフォーマンスは本物で、暫定的なECUセッティング状態で354ps/39.6kgmをあっさりとマーク。スモーキー永田いわく「セッティングを詰めれば360psは狙えるかな」とのこと。
フィーリングも凄まじく、8000rpmオーバーまでストレスなく吹け上がり、高回転領域でもパワーが追従してくる。とてもVQ35DEベースとは思えない特性に仕上がっていた。多連スロットル特有の吸気音も刺激的だ。
枠に捉われないこうしたマシンメイクは、スモーキー永田自らが生粋の“走り屋”で、自身の経験に基づいたアプローチを積極的に展開できるチューナーだからだろう。トップシークレットが名門たる所以を強く感じさせてくれるスーパーチューンドだ。
●取材協力:トップシークレット 千葉県千葉市花見川区三角町759-1 TEL:043-216-8808
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