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ECUチューンによるブーストアップで実力を解放!
ライトチューンでも320km/hは通過点に過ぎない
R35のデビューから17年。これまで多くのGT-Rを手がけてきたフェニックスパワーにとって、パワーを引き出すチューニングメニューはもはや悩むこともなく、その経験値を活かして自在に組み立てることができるほど成熟の域に達している。そんな達観したスタンスながら、やはり最新のイヤーモデルとなると驚かされることもあるという。
今回、最高速テストに持ちこんだ車両は、最新の2024年モデルをベースにしたブーストアップ仕様。最低限のチューニングレベルではあるが、軽々と320km/hオーバーをマークした。
「チューニングはスタンダードなエントリーメニューです。ブーストアップと燃料の増量、吸排気など、初歩的な内容のストリート仕様です。これだけで200マイル(322km/h)以上出るとは…。MY20モデルなら同じ仕様で315km/hくらいがギリギリでしたからね」と語るのはフェニックスパワー横山代表。
VR38DETT本体には手を入れることなく、吸排気系とインジェクターを入れ替え、オリジナルの制御データでブラッシュアップ。最高出力は675psを計測しているが、街乗りも快適に楽しめるレベルに留められている。排気系はRH9の100φチタンをセット。フロントパイプはトラスト製を組み合わせる。
足回りはアラゴスタベースのオリジナル車高調で、スプリングはラーナ直巻きのフロント28kg/mm、リヤ24kg/mmをセット。
ホイール&タイヤは、BBS LM(F9.5J)とアドバンネオバAD09(255/40R20)のコンビネーションだ。このタイヤセレクトから見ても、ストリート+αを想定したグランツーリスモであると想像できるだろう。ブレーキは前後ともにエンドレスのモノブロックを装着。
室内は、コンフォート性能とスポーツ性能を併せ持つレカロのスポーツスターを運転席と助手席に組み合わせる。リクライニング機能も備えた、グランツーリスモとしてのキャラクターを強調するセットアップだ。
エクステリアには、完成間もない2024年モデル専用のオリジナルフロントリップスポイラーをセット。バンパーサイドにはオプションパーツとして用意するサイドプロテクターを組み合わせ、整流効果の促進を狙う。
「エンジンのフィールやアクセルのつきはメチャクチャ良かったから、走り出した瞬間に“コイツは速いぞ”って感じられたね。300km/hは余裕だと思ってたけど、予想以上に伸びてくれた。足回りは若干アンダー傾向が強く、バンクの出口で踏み抜けなかったのが残念だ。足回りのセッティングをビシッと決めればもっと安定して踏めるクルマになるんじゃないかな」とはアタックを担当したDaiこと稲田大二郎。
製作者の横山代表が語る。「“予測以上に伸びてくれたな”というのが正直な感想です。同じアプローチでもベース車がMY24へと進化したことで、結果に上乗せがあるんですね。そして、チューニングアプローチに関しては、これまでの考え方で間違っていなかったように思っています。あとはDaiさんも言うように、足回りをもう少し煮詰めてアンダー傾向を解消していこうと思います」。
モデル末期にして、未だにトップチューナーを驚かせるR35GT-R。真のポテンシャルは、まだまだ底を見せていないというわけだ。
●取材協力:フェニックスパワー 福井店:福井県坂井市丸岡町朝陽2-317 TEL:0776-67-2980/京都店:京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157
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