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現代のチューニング技術で乗りやすさと快適性を大幅アップ!
F-CON Vプロ制御で快感フィーリングを実現
最後のFRスターレットであるKP61型と言えば、ラリーの神様「オベ・アンダーソン(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)」が山岳エリアを疾走するテレビCMを思い出す人も多いだろう。質実剛健な性能を大々的にアピールするだけあって、現役時代は国内ラリーやダートラ、ワンメイクレースなど、数多くのステージで活躍した名車だ。
そんな秀逸なベース車だけに、当時はTRDから数々のレーシングエクイップメントが発売されていて、それらを組み込んでワインディング走行を楽しむオーナーが多かった。
今回紹介するKP61は昭和59年式の「DX(デラックス)」がベース。そして、オーナーである鈴木さんのチューニングコンセプトは「快適な街乗り仕様」というものだ。
エンジンは79φハイコンプピストンを組み込んだ4K-U(II)の腰下に、高強度で燃焼室の加工自由度も大きい4K-Uヘッドをセットした1430cc仕様だ。しばらくはウェーバー40φキャブで遊んでいたが、「快適な街乗り仕様」を求めて“カーショップポルシェ”でスポーツインジェクション化を敢行。最高出力も100psオーバー(ノーマル:72ps)まで高まり、万能型のハイレスポンスユニットへと進化した。
スロットルシステムはカーショップポルシェによるワンオフメイド。普段の街乗りでは吸気管長の長い低中速重視のカーボンファンネル+フィルター仕様で運用。高回転域を多用したい場合は、ワンオフのショート寸アルミ製ツインファンネルに変更するそうだ。
昭和50年代のクルマに似つかわしくないエンジンセッティング風景。HKSのF-CON Vプロで綿密にマネージメントすることで、現代のクルマと遜色ない日常性を与えているのだ。
エンジン搭載角度にも拘った。当時、ワークスのマイナーツーリングレース車両が採用していたエンジンの直立化を実行したのである。
というのも、KP61に搭載される4Kエンジンは、正面から見ると右側に傾斜していて、吸気は一度下ってから上るという経路を辿るため効率が悪い。その経路をストレート化するための策こそが直立化なのだが、エンジンマウントの製作はもちろん、エンジン同様に角度が変化するミッションに合わせたミッションメンバーの加工、長さが足りなくなるEXマニの延長など、かなりの大手術が必要だったそうだ。
足回りはビルズの車高調を軸にセットアップ。なお、KP61のリヤサスペンションは本来ダンパーとスプリングがセパレートとなっているが、セッティング幅を広げるためにコイルオーバー化している。
高められた動力性能とバランスを取るべく、フロントキャリパーにはAE86用を移植。ホイールはワークエクイップ・ゼロワン(F6.5J+13 R7.0J+7)の特注色。タイヤは快適ストリート仕様ということで、ブリヂストンのREGNO(165/55R14)を4本通しで履く。
ロールケージに覆われた室内は、かつての峠仕様を思い出させてくれる仕上がり。ステアリングはナルディラリーで、メインメーター前にはピボットの大型タコメーターとAEMのA/F計を設置。リヤタワーバー部には、シンメトリーレイアウトでBOSEの101RDスピーカーと小型の扇風機をマウントしている。
センターコンソールにはオートメーターの52φ(水温、油温、油圧)を3連で並べ、下段にカロッツェリアの1DINオーディオをインストール。
単純に全盛期のチューンドを再現するのではなく、現行モデルとの走りにも十分通用する高いクオリティを徹底追及したKP61スターレット。まさに最新のレーシング旧車と呼ぶに相応しい極上の1台だ。
●取材協力:カーショップポルシェ 山梨県南アルプス市東南湖952-2 TEL:055-284-0813
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