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FD3Sの生命線である旋回性能を活かしきるセットアップ!
フジタエンジニアリングが提案する究極の峠SPL
高い旋回性能を武器に、タイトコーナーが連続するような場所でも路面に吸い付くように走り抜けるFD3S。その性能を全域で引き上げ、峠最速を狙ったのが、関西におけるロータリーチューンの雄である“フジタエンジニアリング”のマシン。とくに拘ったのはタイヤとブレーキだ。
整備されたサーキットと違い、峠は路面状況が一定ではない。グリップ力だけでSタイヤを投入すると、タイヤ剛性の高さからギャップで車体が暴れやすくなるため、スポーツラジアルで合わせ込んでいくのがベターだ。
取材車両が組むアドバンA052は剛性が絶妙で、路面の荒れた峠でもコントローラブルなグリップ力の高さを発揮するという。トレッドは浅溝仕様だが、サイドが適度にたわんでグリップ力を引き出す設計ゆえにウエット路面も抜群だ。
ブレーキに関しては、効きの強さよりもコントロール性を重視。純正17インチ仕様ならバッド交換だけで戦える仕様になる。予算に余裕があれば、ABSを6型の高性能版にアップデートすることで、アップダウンの激しい路面でのブレーキロックを防げるなど安心感が大きく増す。もちろん、サーキット派にも有効なチューニングだ。
一方のパワー系は、峠であれば純正タービンのブーストアップ仕様でも十分だが、13B-REWのコンディションに大きく左右されるため、フジタエンジニアリングではオーバーホールを前提としたTO4Sタービン&ニュルスペックポート仕様を推奨。
このスペックは低回転から純正以上に鋭くパワーが立ち上がる特性が魅力で、ステージを選ばずに速く走れる低中速トルクと400psという高出力の両立が可能だ。
足回りは、フジタオリジナルの車高調(FEEDプロ-F09魔王スペック)を軸に構築。FD3Sの魅力である回頭性の良さを犠牲にしない弱オーバーセッティングがポイントだ。
なお、リヤスタビは1型が太く、6型は細い。1型のリヤスタビではイン側が浮きやすく挙動不安定、6型ではロール感が強くなるため、フジタエンジニアリングではスピリットRの15φリヤスタビを推奨する。
低中速メインの峠なら4.7ファイナル化も有効だが、FD3Sのオールラウンド性をキープするなら純正の4.1ファイナルのままでOK。タイトコーナーが連続するようなシーンでも2速メインでストレスを感じることなく走り抜けられる。
横転の不安が少ないFD3Sゆえ、フジタエンジニアリングでは重量増や室内空間が犠牲となるロールケージはよほどのことがない限り不要と考えている。ただし、ドライビング時のホールド性向上と軽量化の両面でバケットシートはマストアイテムだ。
エクステリアはオリジナルのアフラックスGT3キットで武装。フロントに最大315タイヤのマッチングも可能にする製品だ。ストリートではオーバースペックのように思えるワイドボディだが、スタイリングの精悍さやスポーツラジアルでのグリップレベル追求に貢献することは言うまでもない。
関西随一のロータリーショップが作り上げたこのFD3Sは、「荒れた路面にも強いスポーツラジアルでグリップを確保」、「コントロール性を重視したブレーキチューニング」、「低中速トルクに優れたエンジン特性の創出」という3つのポイントに沿って製作している。まさに質実剛健、そのメイキングの数々はストリートメインのセブン乗りはもちろん、サーキット派にも参考になるポイントが多いのではないだろうか。
●取材協力:フジタエンジニアリング 大阪府堺市東区八下町1丁82-1 TEL:072-258-1313
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