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希少なオーテックバージョンを徹底チューニング
RB25改26+TD07で最高出力は500馬力に迫る!
今回紹介するR31スカイラインは、1988年に限定200台で発売されたオーテックバージョンベースのサーキット仕様。手がけたのは“R31ハウス”だ。
ノーマルは、エンジン型式こそRB20DETだが、ステンEXマニを介してギャレットT3タービンが組み合わされ、スペック的にはグループAの800台限定ホモロゲモデル、GTS-Rと同じ210ps/25.0kgmを発揮。また、大容量インタークーラー&オイルクーラーが装着され、減衰力8段調整式ダンパーやリヤサスのトラクションバー、ゴールドの専用ボディ色なども与えられる。
言ってみればオーテックバージョンは、今や探してもなかなか見つけられないコレクターズアイテム的な希少モデル。ただ、オーナーはオリジナル状態を維持することに全く拘ることなく、サーキット仕様へのチューニングを望み、R31ハウスによってそれが実現されたわけだ。
まずエンジンはRB25をベースに、東名87φ鍛造ピストン、RB26コンロッド&クランクシャフトで排気量を2.6Lに拡大。ヘッドはIN、EXともDET用よりもバルブ径が大きいRB20DE用を組み合わせ、ソリッドリフター化を図った上で東名カムシャフトがセットされる。
タービンはTD07で、最大ブースト圧は1.5キロに設定。これで485.2ps/7500rpm、49.9kgm/7000rpmというスペックと、低中回転域からでもレスポンスよくブースト圧が立ち上がるエンジン特性を両立しているのだ。ちなみに、インテーク&フロントパイプはワンオフ製作。マフラーはメイン80φ、テール110φとした柿本改コラボに交換されている。
バフがけされたサージタンクはワンオフ品。スロットルボディはN15用の80φに交換され、吸気効率を高めている。また、燃料系はニスモGT-Rポンプ&600ccインジェクターで容量アップが行われ、F-CON Vプロで制御される。
サスペンションは、減衰力30段調整機構を持ったジールファンクションベースのR31ハウスオリジナル。組み合わされるXコイルはフロント14kg/mm、リヤ12kg/mmとなる。ブレーキは、前後ともBNR34ブレンボキャリパー&ローターで、ハブの5穴化が図られているところにも注目だ。
室内はスパルタン仕様だ。追加メーターはデフィ製で、ステアリングコラム上にブースト計、センターコンソールに水温、油温、燃圧計がセットされる。また、ウルトラスピードメーターやHKSサーキットアタックカウンターも装着。
シートはレカロSP-GTIIに交換。リヤシートは取り払われ、キャロッセ5点式ロールバーが組まれている。
ホイールは、街乗り時は11J-15のRSワタナベエイトスポークを履いているが、今回はサーキット取材ということで、前後9.0J±0のボルクレーシングTE37に235/40-17サイズのポテンザRE55Sを装着。
エクステリアでは片側約50mmワイドとなるR31ハウスオリジナルのオーバーフェンダーがトピック。純正フェンダーは10cmほどカットされ、大幅なワイドトレッド化を実現している。見た目のカッコ良さはもちろん、しっかり機能も果たしているパーツだ。
「いつもは鈴鹿サーキットを走っとるんやけど、オーナーさんが乗ってのベストが2分33秒。プロドライバーが乗ったら、23秒台が出るくらいのポテンシャルはあると思いますね」とR31ハウスの柴田さん。
30年以上前のクルマでも、今時のチューニングをきっちり施すことでまだまだ一線級のパフォーマンスを発揮してくれる。R31ハウスが手掛けたこのオーテックバージョンを見る限り、そう思わずにはいられない。
●取材協力:R31ハウス TEL:0574-28-0899
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R31ハウス
http://www.r31house.co.jp