「あなたは何台覚えていますか?」スカイライン以外に設定された『GT-R』を振り返る!

GT-Rの称号はスカイラインだけのモノじゃない!

『ジーティーアール』と言えば、それは第一世代&第二世代スカイラインとして括られるレース参戦前提のスポーツカーと、動力性能面で海外のスーパースポーツに肩を並べたR35のことを指すことが多い。恐らく、この意見に異論の余地などないはずだ。日本ではもちろん、世界でもそう思っている連中が圧倒的大多数だと思う。つまり、世のクルマ好きにとって、「GT-Rという符号はスカイライン(とR35)のもの」なのだ。が、しかし、他社モデルにも多くの「GT-R」は存在した。そんな陰に隠れたモデルを振り返っていこう。

ベレット1600GTR(1969年発売)

東海道新幹線が開通し、東京オリンピックが開催された1964年に登場したベレットのスポーティグレード、1600GT。その進化モデルとして1969年に追加されたのが1600GTRで、TとRの間に『-』(ハイフン)が入らないのが正しい表記となる。GTのエンジンは1.6L直4OHVだったけど、GTRは同じ1.6L直4でも同年に発売された117クーペと同じDOHCを搭載。最高速190km/h、ゼロヨン16.6秒と当時の1.6L車ではトップクラスの動力性能を誇った。大型フォグランプや、照り返しを防ぐためブラックアウトされたボンネットなどが外観の特徴。

カリーナセダン2000GT-R&カリーナセダン1600GT-R(1985年発売)

T160系カリーナ。同じ車両型式を持つコロナやセリカも内容は変わらず、一粒で三度オイシイ思いができる、いかにもトヨタ的な戦略が良く見える。2000GT-Rは2.0L直4DOHCの3S-GELUを、1600GT-Rは1.6L直4DOHCの4A-GELUを搭載。ちなみに、日本初のツインカムターボエンジン3T-GTEUを搭載する1800GT-T/GT-TRの陰に隠れがちだけど、FRのA60系時代に4A-GEを載せた1600GT-Rがすでに存在していた。

セリカ2000GT-R(1985年発売)

スペシャリティクーペとして誕生したセリカ史上、初めて駆動方式にFFを採用したモデル。その最上位グレードとして存在したのが2000GT-Rだ。エンジンは160ps、19.0kgm(後期型はネット140ps、17.5kgm)の3S-GELUを搭載。FR最終モデルのT60系は直線基調のデザインだったけど、T160系では曲面を多用したデザインへと大きな変貌を遂げ、『流面形、発見さる』というキャッチコピーを含め、強烈なインパクトを与えてくれた。

コロナクーペ2000GT-R&コロナセダン2000GT-R(1985年発売)

カローラ以上マークⅡ未満という、会社組織で言えば課長クラスの絶妙なポジションに位置付けられていたコロナ。T160系だとスペシャリティカー路線のセリカは2ドアクーペのみ、カリーナは4ドアセダンのみ(4ドアハードトップのEDは別カウント)のラインアップだったけど、それらと棲み分けをしなければならないコロナには2ドアクーペと4ドアセダンが用意された。いずれも2000GT-Rのエンジンは3S-GELUだ。

セリカ2000GT-R(1989年発売)

T160のスタイリングをさらにモダナイズした正常進化モデルがST182セリカ。3S-GELU搭載のFFモデルには先代に引き続きGT-Rというグレード名が与えられた。バブル期に発売されたモデルだけに、当時の最先端技術がてんこ盛り。後輪の切れ角を任意に選べるデュアルモード4WSの採用を始め、世界初の電子制御油圧アクティブサスを搭載したセリカアクティブスポーツが300台限定で発売されるなど、話題を振りまいた。

デュアルモード4WSの透視図。車速感応型電子制御4輪操舵システムで、車内でのスイッチ操作によってノーマルとスポーツという2つのモードを切り替えることができた。車両型式はST183となる。

サバンナRX-7 GT-R(1985年発売)

上にGTリミテッドスペシャルディション、GTリミテッド、GT-X、下に最廉価グレードGT(後期型でカタログ落ち)というポジションにあったGT-R。走りの性能を追求したモデルらしく、減衰力8段調整式ダンパーを標準装備していた。また、FC3Sには0.4以上の横Gに対して後輪がトーイン方向にステアして挙動を安定させるパッシブ4WSや、国産車初となる対向4ポットアルミ製ブレーキキャリパーを採用するなど各部に意欲的な設計が見られた。

カペラC2 GT-R

GD系カペラの2ドアクーペモデルがC2。人知れずGT-Rというグレードが存在するわ、RX-7(FC3S)やファミリア(BG8P)と並んで限定300台の∞(アンフィニ)も存在するわ、変態グルマ好きなら絶対に押さえておかなければならない1台だ。が、1989年6月のマイチェンでなぜかGT-Rというグレード名が消滅。2ヵ月後にBNR32を発表する日産から圧力でもかかったのか? ちなみに、車両型式は4WS装着車がGDEB、非装着車がGDES。

2.0L直4DOHCのFE型エンジンを搭載。吸気系には流路を切り替えることで低中速トルクと高回転域のパワーを両立するマツダ独自の可変慣性吸気システムVICSが採用される。カタログスペック140ps&17.5kgm。

ファミリアGT-R(1993年発売)

ベースのGT-Xと同じ1.8L直4DOHCのBP型エンジンを搭載しつつ、タービン&インタークーラーの容量アップによりスペックを180ps/24.2kgmから210ps/25.5kgmへと高めたのが、WRCグループAホモロゲモデルのGT-R。駆動方式はフルタイム4WDだけど、前後トルク配分を43:57(から最大60:40まで可変)とすることでFR的なハンドリング特性を実現。フォグランプ内蔵フロントバンパーやアウトレットダクト付きボンネットが外観の特徴だ。

「かつてブームを起こした“4WS”ってなんだったの!?」誰もやらない奇天烈メカニズムを再考する!

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