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アナログかつシンプルな制御がダイレクトなドライブフィールを生む!
ホンダの名作を自分色に染め上げる歓び
ホンダのPP1型ビートは、ミッドシップを採用した遊び心満点のオープン2シータースポーツだ。決して安くはない車両価格からも、実用性を求めて選んだユーザーは皆無だろう。熱狂的なファンが多く、2017年6月から一部純正部品の再生産をホンダが行うなど、デビューから30年近く経過している車両としては異例の存在だったりする。
エンジンは64psを発揮するNA3気筒SOHCのE07A型。3連独立スロットルと制御方式が切り替わるMTRECを実装しているのもポイントだ。そんな超個性的なKカーを自らの愛車として選び、リフレッシュとチューニングを楽しんでいるユーザーが今回の主役だ。
キャビンの真後ろに搭載されるE07A型エンジンは、オーバーホールこそ施しているものの基本的にはノーマル。8100rpm時に64psを発揮し、レブリミットは8500rpmの設定だ。
後方に小さなトランクは備えるが、この車両は熱気排出用のインナーダクトをインストールしているため、積載量はかなり制限されている。
ビートは軽自動車として初めて4輪ディスクブレーキ&前後異径(純正は前13インチ、後14インチ)タイヤを採用したモデルだ。ホイールはオーナー拘りのウェッズTC-005で、装着サイズ以外にも多数ストックを持っているほど。
非常にタイトな室内だが、センターコンソールが助手席側にオフセットされた設計のため、運転席側にはレカロのTS-Gが装着可能なスペースを持っている。また、純正の内装類はライトグレー系だが、シートに合わせてブラックとワインレッドで塗装。質感を高めているのだ。
様々なブランドのエアロをミックスしてオリジナルスタイルを構築。その楽しみ方はまさに1/1プラモデルといった感覚だ。左右4本出しのマフラーはアデレイドプランニング製で、排気系の高効率化でエンジンの性能を引き出している。
「ホンダ党にとって、ビートはS660登場まで唯一のミッドシップオープンという存在でした。4輪ストラットサスペンションとパワステレスのステアリング、現代車と比べるとシンプルな制御のエンジンと、クルマの全てがシャープでダイレクトなことがビートの魅力です」とはオーナーの弁。
信号ダッシュでは、ターボの軽自動車に負けるなどネガな部分も語ってくれたが、それでもこのビートならではの高回転までリニアに吹け上がる特性と、まるでゴーカートのようなダイレクトフィールの虜だという。現代のクルマ作りのルールではもはや存在し得ない、クルマ本来の魅力に気付かせてくれる貴重な存在、それがビートなのである。