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往年のジャックスカラーをアコードワゴンで再現
専用ECU付属でK型スワップがより身近な存在に!
イギリス発祥のチューナーである“mountune(モウンチューン)”。2013年にアメリカにも進出し、現地法人のモウンチューンUSAはカリフォルニア州カーソンに拠点を置いている。
自前のエンジンベンチを備える他、熟練の職人も在籍する同社は、アメリカ国内で開催されるフォーミュラレースのエンジンサービスも担当。そこで使用されているエンジンが、FK2型やFK8型のシビックタイプRに搭載されたK20C1型直4ターボだ。
供給元である北米ホンダ子会社のHPDは、そのK20C1を補修用として単体で販売する、いわゆる「クレートモーター(エンジン単体:6500ドル/コントロールパッケージ:9000ドル)」も展開。モウンチューンUSAはその販売ディーラーでもあるのだ。
発売されて間もないK20C1クレートモーターは、もちろんあらゆる車体に搭載するエンジンスワップも想定。そこでモウンチューンUSAはK20C1スワップの可能性を広くアピールしようと、グループ会社のホイールブランドであるfifteen52と共同でデモカーを製作することにした。
コンセプトワークを担当したfifteen52が、日本のJTCCで活躍したJACCSアコードのトリビュートを図案化したところ、偶然にもモウンチューンUSAのスタッフが同年式のアコードワゴンを所有していたため、それをベースに製作しようと話が進んでいったそうだ。
なお、クレートモーターにはHPDがキャリブレーションを行なった専用ECU、ヒューズとリレーを一体化した配線ボックス、ドライブ・バイ・ワイヤも実現する各種センサー類、ワンタッチ接続の専用ハーネスなどが付属(コントロールパッケージ)されている。また、ホンダ純正6速MTとLSDもオプションとして選択することが可能だ。
そんなあれやこれやを、本来はH22A型の直4が載るアコードワゴンにインストール。新たにポート噴射システムを追加し、アルコール含有燃料であるE85を使用できる独自の燃料系も作り上げた。
さらにハイレスポンスな純正タービンを活かし、インタークーラーやダウンパイプなど吸排気系もワンオフでアップグレード。あくまで「手軽に」ハイパワーを得られるクレートモーターのメリットをアピールするため、最高出力は北米仕様のFK8と同じ306hp(310ps)とされているが、「現状でも恐らく350psは出てるんじゃないかな」とのことだ。
この車両では、ハスポートと共同開発したエンジンマウントを使用しており、カスタムメイドのドライブシャフトも導入。インタークーラーとラジエターはCSF製、デジタルダッシュに信号を送る22チャンネルCANセンサーモジュールはAEM製だ。
もう一方の主役であるfifteen52のホイールは、センターロック風キャップを備えたスーパーツーリングポディウムの19インチ。ハブを114.3の4穴から5穴に作り変えてマッチングさせてある。ビレットのワンオフブラケットを製作してFK8純正のブレンボキャリパーも装着する。
JACCSカラーを再現したラッピングは時代考証を踏まえてスポンサーロゴをレイアウト。形状のよく似たカーボン製ドアミラーも装着するなど、手が込んだエクステリアメイクが光る。
スパルコのORTバケットシートやフルカスタムのロールケージを備えるスパルタンな室内。AEMのCD-7L、ACUITYのシフターなども装備。
チルトンの吊り下げペダルのうち、アクセルペダルにはクレートモーター付属のDBW用センサーを備える。
F3やF4のエンジンサービスも手掛ける陰のエキスパート集団“モウンチューンUSA”。右が代表のケン・アンダーソン、左がヘッドエンジニアのタイラー・ハラ。「要望があればK20C1クレートモーターは日本にも輸出するよ!」とのこと。
専用ECUが付属されていることでKスワップのハードルを一段下げてくれるK20C1クレートモーター。FFはもちろん、S2000のミッションを活用した縦置きFRだって夢ではないだろう。
「あなたなら当代随一の直4ターボを使って、どんなクルマをクリエイトしますか?」。モウンチューンUSAのアコードワゴンは、そんな問いを世界中のチューナーに投げかけている。
Photo:Akio HIRANO Text:Hideo KOBAYASHI