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登録者数184万人のYoutuberが10年越しの夢を形に
K20Aターボ+S2000ミッションのFRシビック!
奇想天外な車両製作プロセスを追う動画が人気を呼び、チャンネル登録者数は184万人を数えるアメリカのYoutubeチャンネル“Throtl”(スロットル)。
その中心人物であるミッキーのプロジェクトは一筋縄ではいかない個性派で、なんとアキュラRSX(DC5型インテグラ)のK20A型エンジンをターボ化した上でEKシビックに縦置きし、S2000の6速MTとデフに繋げて後輪駆動へ作り変えてしまったのである。
FRのEKだから“FREK(フリーク)”と名付けられたプロジェクトの動画シリーズは、合計40本の超大作。縦置きを実現するオリジナルのクロスメンバーや、タイロッドエンドの取り付け位置を下げるナックルなど、無いものを作るパートが特に見ものだ。
「ワンオフ」という表現は便利な反面、作り手が要した手間や試行錯誤に対する想像力を喚起させないこともしばしば。だが、Throtlの動画は素材を切ったり溶接したりという作業内容がポップなBGMとともにテンポよく紹介され、見ていて単純に楽しいし勉強にもなる。しかも基本的に撮って出しなので、動画を公開した後に必要なくなったパーツも出てくるなど、カスタマイズという行為の生々しさが伝わってくるところも魅力だ。
何から何まで自分で作らずとも、最初からK型を縦置きスワップする前提で作られた半既製品が売られているのもアメリカの面白さだ。
この車両にも、K20エンジンとS2000ミッションを接続するJSPのベルハウジングアダプターの他、縦置きした時にスロットルボディの位置がフロント側に向くKパワーインダストリーのインマニ、水回りの配管を自由度高く取り回せるTracTuff(トラックタフ)のクーリングパーツなどが採用されている。
リヤサスに備わるS1 Builtのリヤトレーリングアームも融通の効く逸品だ。純正形状のためS2000用であればハブのスプライン形状もS2000と同じだが、「でもボディはEKだからPCDは4H100で!」とオーダーすることだって可能。
もちろんパワーチューニングも徹底的で、LoveFab製のカスタムターボマニホールドを介してG25-550タービンをボトムマウント。VTECターボ仕様を構築しているのだ。現時点での最高出力は385hpに留まっているが、チューニング次第では600hpも見込めるという。
インマニは“i-VTEC TURBO”のプラークが付くMDX用で、スロットルは86/BRZ純正の電子制御式を流用してドライブバイワイヤを実現している。
水平配置されたインタークーラーの下には、TracTuffのラジエターとビンテージエアのエアコンコンデンサーをVマウント。美しい造作も見どころの一つだ。
6速MTを収めるセンタートンネルが目を引くインテリア。電動パワステはスイッチで任意にシスト量を変更できる他、ビンテージエアのエアコンも完備する。メーターはハルテックのIC-7デジタルダッシュだ。
センターパネルにはPDMスイッチやバッテリーのキルスイッチをマウント。制御用ECUのハルテック・エリート1500やPDM本体は助手席足元に美しくレイアウトしている。
フューエルタンクはラディウムのコレクター内蔵タイプで、燃料系やオイルラインにはDYME PSIのカスタムケブラーホースを使用。各部に執念すら感じさせる徹底した作り込みが実現されている。
FR駆動を支える足回りは、スカンク2のプロコイルオーバーを軸に構築。駆動系は、ACTレーシングクラッチ→S2000純正6速MT→Oceanside Drivelineプロペラシャフト→S2000純正デフ→Driveshaft Shopドライブシャフトというレイアウトだ。
ホイールはMotegiのMR146 SS6(FR15×8.0J+28)で、タイヤにはアゼニスRT-660(F205/50-15 R225/50-15)を組み合わせる。ブレーキもウィルウッドのキットで強化済みだ。
エクステリアは、日本のワンメイクレース車両を参考にしたMaxBoost作のオリジナルグラフィックを採用。ルーフ、ドア、ボンネットはカーボン製で、EVO用を流用してベントも設けてある。
レース専用車両のためヘッドライトはデリートされ、カーボンパネルでカバー。右側のダクトはタービンにフレッシュエアを供給する。
このシビック改FR仕様は、サーキットとドラッグレース場でのシェイクダウンも完了し、イベントデビューとなったホンダミートでもギャラリーをエンジンルームに誘い込む魔力を発揮した。長年温めてきたアイディアを遂に具現化したミッキーは今、まさにFreak Out(マジ興奮!)している。
Photo:Akio HIRANO Text:Hideo KOBAYASHI