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貴重なランエボX最終モデルを560馬力まで超改造
チューニングへの欲望が愛車を進化させる!
実測564psである。アクセル全開状態のこのランエボXを追撃できるスポーツカーなど、そう多くはないだろう。
オーナーの上田さんは、生粋のチューニングマニアだ。若かりし頃はボルトオンターボ仕様のワンダーシビックで福井新港のストリートゼロヨンに明け暮れ、そこで4WDの強さを思い知る。
その後は、パルサーGTI-R→ランエボVII GT-A→ランエボVIIIと、国内屈指の2.0L・4WDスポーツモデルを乗り継ぎ、ランエボの生産終了を機に1000台限定のファイナルエディション(GSR)を新車購入。
当初はコレクションのつもりだったそうだが、これまでの愛車がどれもカリカリのフルチューンスペックだった男の身体を素の4B11が満足させられるわけがない。走行1000km弱の状態でいきなりGT3240タービン仕様へとグレードアップし、さらにトルクフィールの改善を狙って2.2L&ハイカム化…と、ショップデモカーレベルの仕様になるまでそう時間はかからなかった。
現在は、腰下に94mmロングストローククランクで2.2L化を図るJUNのカスタムEXキットを投入し、ヘッドには作用角が強烈なMIVEC用ハイカム(272度/11.0mmリフト)と強化バルブスプリングをインストール。レブリミットは7800rpmの設定だ。
タービンはHKS最新のGT-5565 BB。フェニックスパワーによるメインECUチューン(ECU-TEK)とSBC-iD制御で、最大ブースト圧1.87キロ時の564.84ps&58.45kgmを叩き出す。ウエストゲートはHKSのGTIIだ。
足回りはアラゴスタのタイプSカップベースのフェニックスパワーSPL車高調(F14kg/mm R10kg/mm)を軸にセットアップ。ホイールはBBSのRI-D(FR19×9.5J)で、タイヤにはアドバンネオバAD08Rの275/35-19を4本通しで履く。ブレーキもエンドレスのMONO6システムで強化済みだ。
エアロパーツは完全なMIX仕様。チャージスピードのボトムラインを軸に、バリスのディフューザーやボルテックスのGTウイング、ダムドのリヤアンダーなどを組み合わせて、チューニング指数を高める。
室内は、ストリート仕様らしいシンプルメイク。シートはレカロのRS-Gで、追加メーターにはデフィのアドバンスドBF(ブースト、水温、油温、油温、燃圧)をチョイスする。GSRのためミッションは5速だ。
エアカップ用のコンプレッサーとタンクは、トランクルームの両サイドに目立たないようマウント。積載性を犠牲にしないことを前提にしたインストールだ。
「最近タービンをHKSの新しいGTシリーズに変えたんよ。ブラックのハウジングに惚れて。馬力は変わらん言われたけどね(笑)パルサー時代から世話になっとるフェニックスパワーでは“病気”って言われとるけど、やめられんね。他人と同じは嫌やし、イジるのが好きなんよ」と、上田さん。
チューニングはどこまで行っても自己満足の世界だ。皆それぞれに目標があり、ブーストアップで満足する者もいれば、究極を目指す者もいる。上田さんは完全に後者なのだが、その飽くなきチューニング欲の深淵は、どこまでも続いているように思う。
「今ね、トラクションアップを狙って機械式LSDを前後に組み込む準備を進めてるんよ。雨の日とか掻いちゃって大変だからさ」。
なるほど、確かに“病気”である。
PHOTO:堤 晋一
●取材協力:フェニックスパワー (福井店)TEL:0776-67-2980 (京都店)TEL:0774-48-1157