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ソアラを知り尽くした男に聞くJZZ30の魅力と改造法
重量級ボディはパワー向上で補充! 都会派にも似合う懐の深さ!
D1グランプリ開幕元年となる2001年から、長きに渡ってJZZ30で挑み続けたカーメイクT&Eと上野高広代表。まさに30系ソアラチューニングのカリスマ的存在で、本気のドリフトマシンからストリートスペックまで、幅広いメニューをこなす。そして、ここで紹介する1台は、上野代表がストリート&ドリフト走行会で実際に使っていた自身3台目の愛車だ。
エアロパーツは全てオリジナルのVERTEXブランド。フロントは大きな開口部でインタークーラーの冷却効率をアップ。アグレッシブかつアーバンスタイルにもマッチし、場所を選ばず映えるデザインだ。ちなみに、リヤハーフスポイラーはT&Eとして初めてリリースしたエアロ。このソアラは、上野代表とT&Eの原点となる1台なのだ。
ソアラは基本的に高級車だ。言わばセルシオの2ドア版であり、快適装備が満載のためとにかく重い。では、スポーツ走行を楽しむためには軽量化が前提になるかというと、「そうではない」と上野代表は断言する。
「徹底してやるなら軽量化するべきだけど、そうすると僕が以前乗っていたD1マシンみたいになっちゃう(笑)。普段のアシとしても使うなら、ソアラらしさは残さないと。せっかく1JZが搭載されているんだから、重さはパワーで補えば良い」。
その言葉通り、このマシンの心臓部に収まる1JZユニットは、HKSの鍛造ピストンで本体を強化しつつ2.6Lまで排気量アップさせ、そこにGT3037Sタービンをセットした470ps/60kgm(ブースト1.5キロ)というハイスペック仕様だ。結果、1.5トンを超える重量級ボディを感じさせない爆発的な加速力を手にしている。
「エンジンはココまでやらなくてもOK。初期のVVT-i無しならブーストアップで360psは出せるから。それで十分楽しめるはず。これがVVT-i付きになると320psくらいしか出せないんだ。まっ、究極チューンを前提にするならVVT-i付きの方が有利なんだけどさ」とのこと。
そして、もうひとつのウィークポイントとなるのがサスペンション。前後ダブルウィッシュボーンでよく動く足なのだが、ボディが重いゆえに揺り返しが大きいのだ。
「これをスプリングとダンパーだけで対処しようとすると、レートはどんどん高くなり、固くなりすぎれば乗り心地も悪くなるし、ドリフトさせた時にスライドが止まらなくなる。この解決法はスタビを強化すること。オススメはドゥーラックの硬さ調整ができるやつ。走りに合わせたセッティングができるからね。それから切れ角アップも行いたい。ドリフトのみならず、これは街乗りにも有効。ソアラは回転半径が大きくてUターンするの大変だから!」。
ちなみにこのクルマの車高調は、HKSのハイパーマックスDダッシュを装着。スタビの強化により、スプリングレートを抑えることができ、よく動く足のまま余計な揺り返しを抑えている。重量ボディはブレーキへの負担も大きく、そこはJZA80キャリパーとオリジナルのT-ZEROタイプTRパッドで対策。ナックルもショート化したものを投入して切れ角を引き上げている。
未だに古さを感じさせず、都会のワンシーンにもマッチするハイエンドクーペは、ハードな走りにも応えられる懐の深いチューンドベースなのである。
●取材協力:カーメイクT&E TEL:0550-70-5678
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