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13B-REW改NAエンジンを搭載してSA22Cを楽しむ
エンジンパーツの供給に悩む旧型ロータリー搭載車への提案
第一次オイルショック→排出ガス規制強化→第二次オイルショックと、70年代前半以降は自動車業界にとっては最悪の連鎖が続き、日本のメーカーがやっとの想いでその闇から抜け出すことができたのは、80年代の初頭だった。
そんな“闇”の真っ只中である1978年にデビューしたのが、サバンナRX-7(SA22C)だ。
リトラクタブルヘッドライトを軸にした流麗なフォルムはもちろん、1トン弱の軽量ボディやCd値0.36という卓越したエアロダイナミクス、軽量コンパクトな12A型ロータリーエンジン、フロントミッドシップ化による理想的な前後重量配分など、排ガス規制に苦慮しながらも随所にピュアスポーツらしいキーワードを盛り込み、クルマ好きのハートを鷲掴みにしたモデルだ。
取材車両はターボエンジン搭載の後期型がベース。グロスで165psと決してパワフルではなかったが、軽快に吹け上がるロータリーフィールと軽量ボディによるコンビは絶妙で、ライバルとなるレシプロエンジン搭載のスポーツモデルを凌駕するパフォーマンスを見せつけてくれた。
とはいえ、時間の流れには逆らえない。今や12Aのエンジンパーツは入手困難な状況で、それが車両の維持を難しくしている。社外パーツがほぼ存在しない特殊なパワーユニットだけに、純正部品が製廃になるとオーバーホールすらままならないのである。
そうした現状を打破しようと奮起したのが、関西屈指のロータリーチューナーとして知られる“フジタエンジニアリング”。現在でも純正パーツが入手可能なFD3S用の13B-REWをベースにした、SA22C向けのNAハイコンプユニットを開発したのだ。
これは、RX-8の高圧縮ローターに独自のポートチューンを組み合わせた200ps仕様。低速トルクを確保したまま、弾けるように高回転域までパワーが追従する特性で仕上げられているのが特徴だ。
NAのため極端なヒート対策は必要ではないが、夏場の渋滞でも音を上げないように大容量ラジエターや電動ファン、スワールポットなどを投入して水温の安定化を図っている。
重要なマネージメントは、FD3Sのエンジンハーネスに引き直した上でアペックスのパワーFCで掌握。触媒もFD3S純正を流用し、エミッションコントロールも完璧な合法スペシャルで仕上げられている。
足回りはフジタエンジニアリング特注の車高調でセットアップ。ホイールは定番のRSワタナベで、タイヤにはアドバンネオバ(195/60R14)を組み合わせる。ちなみに、標準サイズは175/70R13だ。
室内はシートやステアリングまで含めて、あえて純正仕様。コンディションをキープするためのチューニングも抜かりなく、ミッションは耐久性のあるFD3Sの5速に変更している。フロアマットはフジタエンジニアリングのオリジナル製品だ。
快適性も安定性も間違いなく新車以上。絶対的な速さを求めるのではなく、長く旧型ロータリー車を楽しむためのフジタエンジニアリング流エンジン換装術。気になるオーナーは問い合わせてみてはいかがだろうか。
●取材協力:フジタエンジニアリング 大阪府堺市東区八下町1丁82-1 TEL:072-258-1313
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フジタエンジニアリング
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