「話題沸騰のV8エンジン換装ハチロク、その全貌に迫る」クラフトマン魂が炸裂した至宝のフルカスタム仕様!

ワイドボディに1UZ-FEエンジンを搭載

プライベートビルダーの次元を超越した至高の仕上がり!

「クルマなんてものはパッと見のカッコ良さが全てなので、細かい拘りなんかは自分の中だけで分かっていれば良いんです(笑)」。そう語るのは、オーナーでありプライベートビルダーとしてこのマシンを製作した池田将隆さん。“イナズマワークス”の異名でも知られる人物だ。

池田さんがプロジェクトの着想を得たのは、TRA京都代表である三浦慶さんの元を訪れた時。当時、まだ発表前だったパンデムのワイドボディキットの3Dデータを特別に見せてもらうと「瞬間的に、N2仕様で作るイメージがパッと浮かびました」と、製作意欲がスパークした。

作業はまずリヤサスのマルチリンク化からスタート。シルビアの中で一番ワイドなS14のリヤサスを選択し、フロアの一部をカットして5cmほど高い位置にマウントした。

また、スペーサーを使わずにフェンダーアーチとのツラをキメて、ステアリングも全切りできることに強く拘った池田さん。フロントはAE86純正ショックをベースにスピンドルの角度を変えた車高調を製作。ピロアッパーもキャンバー調整幅が広い特殊形状を採用している。リヤはGKテックのドロップナックルを活用しながら、フルピロ調整式アームとワンオフの車高調でジオメトリーを適正化済みだ。

ホイールはN2仕様のコンセプトにもドハマリする15インチのボルクレーシングTE37V SL1920リミテッド。サイズは前後通しで10Jマイナス25だ。タイヤはダンロップのスリックラジアルを組み合わせる。ブレーキはフロントがFD3S用、リヤがBNR32用のツインキャリパー仕様となっている。

「実際に作業している時間よりも、事前に計算したり、どうやって作ろうかなってクルマを眺めながら考えている時間の方が長いですね(笑)」

そう語る池田さんが、前後の車高調にもうひと工夫加えたのが、自ら図面を引いて設計した削り出しのエアカップだ。コンプレッサーからシリンダー内部に直接空気を送り、車高を6cmほど高くすることができる。プレッシャーセンサーを内蔵したので、一定のエア圧に達するとコンプレッサーは自動停止。そこまでした目的が「ローダーに積載する時に便利だから」というのだから驚くばかりである。

エンジンはワイドボディに4A-GEでは迫力不足と感じて、クラウンマジェスタの1UZ-FE型V8に換装。これもまたフェンダークリアランスがキマる車高ありきで搭載位置を決めるなど、クルマの完成形がカッコ良く見えることを最優先。トランスミッションはW58型の5速MTで、アメリカのXAT製アダプターを使って1UZと接続してある。

セラコートで美観を整えたOBXの8連スロットルには、OBX製より短いジュビライドのファンネルを装着。FRPボンネットとのクリアランスを確保した。海外製のベルトテンショナーキットでエアコンとパワステはデリート。

フューエルレールはBPPのビレット製で、荷室側にツイン装着したハイパーフューエルのコマンドセンター2.0(ポンプとレギュレーターを内蔵したコレクタータンク)から燃料が供給される。

タイヤ切れ角を得るためインナーブリスター化し、コアサポートを隠すカバーも一枚物のパネルで製作。横長のアルミラジエターにサイドタンクを追加し、AN20と太めのフィッテングも使用している。

インテリアメイクも凄まじい。フロアトンネルを少し切り開いたため、室内側にはロールケージに鋼管を追加したオリジナルダッシュを構築。センターコンソールの枠もパイプで組み、隙間を埋めるアルミパネルはビードローラーで成形するなど、機能美の表現にも余念がない。

ABSボードのメータークラスターには、AIMのダッシュロガーとオリジナルのキーパッドをインストール。エンジンの始動や電動ファン、ワイパー、サスペンションのエアカップ、灯火類をスイッチひとつで操作できるのだ。

ペダルはOBPのオルガン式で、ECUはリンクのG4Xを採用。油圧サイドは横の赤いボタンでロックするとパーキングブレーキとしても使える。

ちなみに製作過程において、池田さんはもう1台別の車体を用意し、ボディ系の作業とエンジン系の作業を2台で同時進行させていた。エンジン側では燃料系や電気配線、冷却系などの引き直しも行なった上で、問題なく始動できることを確認。それからワイドボディ化と塗装を済ませた車体に移植したというわけだ。

そんな作業マネージメントを通じ、強烈なクラフトマン魂を込めて生み出されたレビンは、5月3日に開催されたWekfestジャパンでお披露目。今もSNSを通じて世界中のカローラマニアを熱狂させている。

創作クオリティは間違いなくSEMAに出ていておかしくない水準。ぜひ日の丸を背負い、世界の舞台に立ってもらいたい1台だ。

PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI

キーワードで検索する

著者プロフィール

weboption 近影

weboption