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実力派ショップ「ライジング」のRB25改2.9Lキットを搭載!
トルク重視で組み上げられた日本一快速な営業車!?
旧車から第二世代GT-Rまで、幅広くカバーする実力派チューニングショップ“ライジング”。そんな同社の人気メニューとなっているのが、RB25DETエンジンをベースとした2.9L仕様「RB29KIT」だ。
この仕様は、RD28クランクを加工したロングストローク化と、アッパーデッキなどの組み合わせで完成するもので、ロングストローク化によるトルクの大幅な向上が売りとなる。
全域で発生する圧倒的なトルクフィールを始め、とにかく魅力満載のパワーユニットなのだが、この「RB29KIT」は最高速やサーキットシーンなど特化したステージ専用というわけではない。というより、耐久性を含めてストリートシーンとの相性が非常に良いのである。
それを証明するのが、ここで紹介するWGNC34型ステージアだ。「速くて超快適な営業車」というオーダーを受け、ライジングの手によりRB29KITメニューが施されているのだ。
製作時、まずオーナーから与えられた課題が、ATミッションであることと、仕事で長距離を頻繁に走ること。そのため、最大パワーはATの強度限界に合わせる必要があり、エンジンの耐久性も充分確保しなくてはならない。
あらゆる条件を考慮し、ライジングが設定した出力は500ps+α。強化ATを導入した上で、タービンは過渡特性の穏やかなアクチュエーター式を選び、求める出力特性に合わせたものをカスタムオーダー。その他、あらゆるチューニングが「低速トルクの向上」という方向性で進められた。
細部を見ていく。チューニングを進めていくと、サージタンクを交換してターンフロー化する傾向のあるRB25だが、ライジングの伊藤さんはターンフロー化してサージタンクやスロットルを大型化すると「RB25の持ち味である低速トルクが損なわれる傾向がある」と否定的。そのため、2.9L化していながらサージタンク周辺のレイアウトは純正のままだ。
タービンはTD系をベースにしたカスタムメイド。TD06に近いサイズのアクチュエーター式で、低速からトルクが出せるものだという。ただし、高出力アクチュエーター式タービンはスイングバルブ開閉時の燃調・点火のセッティングがシビアで、チューナー側にもそれ相応の技術力が要求される。
エンジンマネージメントはF-CON Vプロが担当。NVCSはRB25ターボ用より可変幅の大きなタイプを流用して低速トルクをアップ。フィーリングを左右するバルタイ調整に拘りながらセッティングを煮詰め、最終的に最大ブースト圧1.7キロで570ps/70kgmという戦闘力を手に入れた。
なお、ミッションは約束通りATのままとしているが、70kgmの大トルクに耐えられるわけがないため、シュヴェーレンの強化タイプを投入している。
室内はシンプル&クリーンにメイキング。シートは両脚ともにレカロのLX、ステアリングはMOMOだ。ミラー位置にはライジングで製作されているミラーメーターホルダーを設置。視認性に優れ、ファッション性も非常に高いことから人気となっているメニューだ。製作や対応車種に関しては要問い合わせとのこと。
エクステリアを覆うエアロパーツに関しては「選ぶ時はWEBを見ながら真剣だったけど、装着したらメーカー忘れちゃった…」とオーナー。
ホイールは18インチのボルクレーシングG25。前後に265/35R18サイズのポテンザRE-11を履かせるために、リヤフェンダーは叩き出し加工が施されている。足回りはHKSのハイパーマックスダンパーでセットアップ済みだ。
こうして完成した世界最強の「営業車」。あまりの速さと乗りやすさから、納車から約半年で3万5000kmも走ったというから驚きだ。ちなみに、オーナーはRB25改2.9L仕様を気に入りすぎて260RSを追加で1台用意、2号車をオーダーしたそうな…。
●取材協力:ライジング 東京都八王子市上川町3515 TEL:042-652-9449
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