目次
タイの名物レース『バンセーングランプリ』に潜入！
バンセーングランプリは、タイの首都バンコクからクルマで1時間半ほどの場所に位置するチョンブリ県バンセーン市で毎年開催されているレースだ。その特徴は、タイランド湾に面したビーチリゾード沿いを含んだ公道を封鎖したバンセーン・ストリート・サーキットして行なわれるということ。ビーチサイド＆アジアの市街地レースということで、モナコグランプリとマカオグランプリを足して割ったような雰囲気。
2024年は7月3～5日の5日間、GT3なども走るタイランドスーパーシリーズやポルシェ カレラカップ アジアを筆頭に、ピックアップトラックのシリーズ戦、その他ハイラックスやヤリス、カローラアルティス、ヤリスエーティブなどのトヨタ車によるワンメイクレース、コンパクトカーによる耐久レースなど、盛りだくさんの内容で開催された。そんなバンセーングランプリの会場から気になったマシンなどを中心に紹介していく。
2W Zoomies Toyota GR Supra GT4
チーム「2W Zoomies」から参戦していた日本人ドライバーの卜部和久選手。バンセーングランプリ初参加、というよりも市街地レース自体が初という若手ドライバーの卜部選手にバンセーンのコースについて聞いてみた。
「両サイドがガードレールでデンジャラスなコースなので最初は怖かったですが、普通のサーキットとは違い、市街地コースは低速コーナーも攻めがいがあって楽しいです。ストレートエンドで230km/hくらい出ますし、コース幅も2台並ぶのが精一杯。抜き所も少ないですが、インが空いていればバックストレートエンドのターン7、あと最終コーナーや1コーナーも頑張ればいけそうです。でも、路面がサラサラしていてタイヤも溶けなくてグリップは低いですね。それにバンピーで、ターン3はラリーみたいにジャンプするほどで、ヘルメットをガンガンぶつけちゃいました。ただ、こういったプロもジェントルマンレーサーも混ざって、みんなで楽しむレースは本当に面白いです！」とコメント。
ちなみに、車両はGT4仕様のGRスープラで、日本でも何度も乗っているマシンなので、安心して走れたとのこと。そんな卜部選手だが、1レース目のラウンド3ではペナルティもあったが、ラウンド4となる2レース目では優勝を果たしている。
Mugen Thaland Singha RPM by insane Motorsport Honda CR-Z
日本とは違い、目立っていたのがホンダのハイブリッドカーCR-Z。コンパクトカーやエコカーのカテゴリーでは、半分近くがCR-Zじゃないかというほど多かった。そこで4台のCR-Zを持ち込んでいたチームスタッフに理由やチューニング内容などを聞いてみた。
「CR-Zを使っている理由は、ホイールベースの長さとトレッドの広さですね。コンパクトカークラスに参戦できる車両の中では安定感が高く、多くのチームがCR-Zを選んでいます」という非常に分かりやすい理由。ちなみに、中身は完全に別物で、エンジンはターボ化され、ミッションもシーケンシャルドグへと変更されていた。
インテリアもCR-Zの面影はなく、カーボン製のダッシュボードを始め、完全にレース仕様に作り変えられている。マネージメントはMoTeCで、ミッションの電子制御化されてパドルシフトになっていた。
タイヤはハンコックで、ホイールは無限のMF10をチョイス。サスペンションは、アメリカのレースパーツブランドMCSの2WAYショックを使用している。
TOYOTA HILUX Revo Yakz V.2
タイのECUショップが製作したハイラックス。エクステリアはタイのKarn Fiberというショップのワイドボディ仕様で、足元にはワーク・ジーストST1の20インチを装着と派手な見た目もさることながら、それ以上に強烈なのがボンネットから飛び出したタービンだ。
エンジンは2.4Lディーゼルの2GDで、純正タービンにギャレットのタービンを2機追加。つまりは4ターボ仕様！ ECUショップのオリジナルROMで制御することで300hpオーバーを発揮する。
TOYOTA HILUX Revo Z EDITION
こちらもトヨタブースに展示されていたハイラックスで、気になったのがリヤのパイプワーク。荷台にはNOSのタンクがセンスよく配置され、荷台の上部にもチタンからのパイプが設置されていた。タイでは、こういったパイプワークによるカスタムをよく見かける。
PHOTO＆REPORT：三木宏章
