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ピュアスポーツらしい走りにラグジュアリーなテイストを融合!
RX-8の在るべき姿を示した痛快スペック
「ハンドリングはすごく良いんだけどパワーが足りない」。RX-8に対する評価をまとめるとそんなところに落ち着く。そうした負のイメージを完全払拭するために生まれてきたチューンドが今回の主役だ。手掛けたのは“KSオート”。
心臓部は、FD3Sの13B-REWを移植。簡単そうで実は難易度が高いその作業をボディ加工ナシで達成したのがポイントだ。RX-8純正の13B-MSPよりもインマニが大きいため、ボディ無加工でいくとなるとエンジン搭載位置は必然的に100mmほど前進することになる。それでも、何とかフロント車軸より内側にエンジン本体が収まる完全フロントミッドシップを実現している。
タービンはワンオフEXマニを介してTO4Sをセット。13B-MSPのボルトオンターボではスペース的な制約がつきまとうが、この位置なら今後エンジン本体のチューニングに合わせたビッグタービン化にも対応できるだろう。現状の最高出力は最大ブースト圧0.85キロで380psだ。
エンジンマウントは、ハウジングの側面にブラケットが付く13B-MSPに対して、REWのブラケットはエンジンの下から支える形状。さらにエンジン搭載位置そのものが大きく変わるため、サブフレームには全く新しいマウントが作られている。
制御系はRX-8のメインハーネスから必要な配線だけを間引いた変換ハーネスをワンオフで作り、FD3S純正コンピュータでドライブ。元々ウォッシャータンクがあった場所にアルミ製のボックスを製作し、そこにコンピュータをマウントしている。
ミッションもFD3S用5速MTを換装。パワートレイン全体が前に移動するためパワープラントフレーム(PPF)を延長し、ミッション後端の取り付け部もFD3S用5速MTに合わせて加工される。さらに、ミッション内部の加工によってケースに対してシフトレバーが出る位置を30mm後ろにズラして、室内側の最適な位置にくるように手直しされている。
ノーマルはカーボン製の1本モノだけに加工できず、スチールでワンオフ製作するにしても1本モノでは回転強度が確保できないというプロペラシャフト。そこでセンターベアリング部はECR33用、その前後にFD3S用を組み合わせた2分割タイプのスペシャル品が使われる。ちなみに、PPFにはセンターベアリングを支持するためのブラケットが追加されている。
車高調はオーリンズPCV。フロント8kg/mm、リヤ5kg/mmというバネレートは快適性重視で完全にストリートを狙ったものでありながら、RX-8本来の持ち味と言える軽快なハンドリングもスポイルしない絶妙なセッティングが施される。
ブレーキはフロントのみキャリパーがトラストGREX6ポットに、ローターも330mmの2ピースタイプに交換される。絶対的なストッピングパワーを高めてくれるのはもちろん、ホイール越しに覗くキャリパー&ローターが足元に迫力も与えてくれる。
ホイールは前後ともドレッシーなウェッズBVILLENS(9.0J+29)で、タイヤにはレヴスペックRS-02をセット。サイズはフロント225/35、リヤ235/35で19インチとなる。
運転席&助手席にはフルバケットタイプのブリッドプロスをチョイス。それに合わせて、リヤシートとドアトリムの生地も赤い革張りとすることでインテリアをコーディネイトしている。スポーティ一辺倒ではなく、高級感さえも感じさせてくれる仕上がりだ。
エクステリアは、KSオートが「BURNOUT」ブランドで展開しているKD-IVエアロキットでフル武装。フロントハーフスポイラーとアイラインの他、サイドスカート、リヤアンダーディフレクターを装備する。RX-8の丸みを帯びたスタイルにシャープなイメージを与え、シンプルながらもラグジュアリーな雰囲気のエクステリアを演出している。
RX-8ユーザーの夢を具現化しつつ、快適性や高級感までを徹底追及したスーパーチューンド、見事なまでの完成度だ。(OPTION誌2014年8月号より)