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REのツインターボはセブン乗りの浪漫だ!
スタイルもメカも定番に固執せず、常に将来に向けたチャレンジを続ける
今回紹介するのは、名門“フジタエンジニアリング”が製作したFD3S。ギャレットの最新タービンであるG25-660をセットした悶絶ツインターボ仕様だ。
「一般論で言えば、もう少しエキゾースト側が小さく、ハーフブレードタイプのタービンを選んだ方がハイレスポンス&ワイドバンドで良いのですが、このピーキーでジャジャ馬なセブンを手なづけて乗りこなすっていうのが醍醐味、男のロマンだと思うんですよね(笑) そんな意味で気に入っています」と話すのはフジタエンジニアリングの藤田代表。
G25-660のツインターボとなると、単純計算で1000ps近い出力を狙えるためかなりチャレンジングな選択だ。完成したパワーユニットの特性は凄まじく、5000rpm付近からパワーが盛り上がってきて6000rpm辺りでピークに達し、そして8000rpmのレブリミットまで問答無用で加速感が持続する。この時代にあって「ここまでパワーバンドの狭い高回転型で良いの!?」と思ってしまうほどだ。
しかし、藤田代表に言わせると「確かに万人向けではないですね(笑) でも、ポートチューンとのマッチングが良く、低回転域からトルクが立ち上がるので問題なしですよ。ユーザー車両で1台作った後、その圧倒的パワーフィーリングが忘れられず、自分の愛車にも採用してしまったほどですから」と太鼓判を押す。
ちなみに、ポート加工はピックアップ良さと高回転域の頼もしさを両立しながら優れた耐久性も誇る『スペックV』。インテーク側だけでなくエキゾースト側にも手を入れ、タービン性能を余さず引き出していく。20年前に誕生した熟成仕様だが、さらなる進化を狙うため改良バージョンをデモカーで現在テスト中だ。
エンジンマネージメントは定番のパワーFCが担う。サードの850ccインジェクターをセットし、ダイナパックで綿密な現車合わせセッティングを敢行。最高出力は軽く600psを超えている。もちろん、フジタエンジニアリングではLINKやF-CON Vプロを使うこともあるが、それらはコンマ1秒を削るようなアタック仕様向け。峠などの標高変化も考えると、ストリートユースは少々制御がファジーなパワーFCが好マッチングという考えだ。
メーターパネルにセットされているのはFCコマンダーのモニター部分。配線を製作してマルチデジタルメーターとして機能させているのだ。
各部にカーボンとレッドステッチをあしらい上質に仕上げられたインテリア。フジタエンジニアリングでは重量増や室内空間が犠牲となるロールケージはよほどのことがない限り不要と考えている。ただし、ドライビング時のホールド性向上と軽量化の両面でバケットシートはマストアイテムだ。
ホイールは19インチのアドバンレーシングGTビヨンドをセット。ルックス的にはもう少し車高を落としたいところだが、実用的には…と悩んでいるそうな。タイヤはアドバンネオバAD09だ。ブレーキもオリジナルのキャリパーキットに交換し、サーキットアタックでも問題ない制動力を手にしている。
エクステリアは、まるで欧州スーパースポーツのようなシルエットを有するAFFLUX(アフラックス)バージョンVボディキットでフル武装。藤田代表が描く未来のFD3Sを具現化したコンプリートスタイルだ。キット価格は173万8000円、塗装や取り付け、各部の加工も含めたコンプリートプライスは220万円に達するにも関らず、究極のスタイルを求めるFD3Sユーザー達から定期的にオーダーが入っているという状況だ。
なお、キット名のアフラックスはフジタエンジンニアリングが展開するエアロパーツブランドを指し、バージョンVは勝利を意味するヴィクトリー(Victory)に由来する。
ちなみに、藤田代表が20年以上乗り続けているこのFD3Sは通勤にも使用している現役チューンド。エアコン付きのフルスペックでありながら、岡山国際サーキットを1分42秒台で周回するというから相当な性能だ。
基本は快適なストリート仕様、しかしその気になればサーキットで上位陣に食い込むハイポテンシャル。いつまでも気遣いしすぎずに、走りを楽しめるようコンディションを高く保っておくことこそチューニングカーの醍醐味、藤田代表の持論を実践するために進化した1台なのだ。
●取材協力:フジタエンジニアリング 大阪府堺市東区八下町1丁82-1 TEL:072-258-1313
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