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「FUSION-RR」と「GT-300スープラ」が令和に復活!?
共に1000馬力の強心臓を持つリアルチューンド
まさか、令和の時代にトップシークレット過渡期の名作達を拝めるとは思ってもみなかった。
2000年代初頭の最高速シーンを盛り上げたチューンドBNR34「FUSION-RR」と、公道を走れるレースカーという立ち位置でスモーキー永田が作り上げた「GT-300スープラ」である。
オーナーは、タイ・バンコクの実業家である“Beer Baiyoke(ビーア)”さん。その気になれば、世の中のどんな高級車でも購入できるほどの若きセレブリティだが、「JDMより面白いクルマはない!」と言い切る根っからの走り屋だ。
「学生時代からJDMに夢中で。中でもトップシークレットのスモーキー永田さんは僕にとって伝説。いつかレプリカ仕様を作ろうと考えていたんです」とはビーアさん。そう、今回撮影した2台はどちらもビーアさんが手掛けたレプリカ仕様(トップシークレット公認)なのである。
スモーキー永田が話す。「ビーアさんの情熱は本物。V-OPTを観て育ったそうで、驚くほど日本のチューニングに造詣が深いんだ。だから僕も全面協力した。ボディカラーの調色を教えたり、BNR34のエンジンを作ったりしたよ」。
ビーアさんは、スモーキー永田が認めた“熱い男”と言うわけだ。早速、それぞれの細部を見ていく。
現存数は10セット前後であろうトップシークレットのGT-300ワイドボディキットでフル武装したJZA80は、ナンバーを取得した公道スペックだ。
エクステリアの寸法は、JGTCで活躍したGT500スープラとほぼ同一。キット構成はフロントバンパー、フロントフェンダー、サイドステップ、リヤフェンダー、リヤバンパーの5点。さらに、エアロボンネットやGTウイングもトップシークレットのオリジナル品を装備する。
心臓部は、3.1Lまで排気量アップ&強化したフルチューン2JZ-GTEにT88-38GKタービンを組み合わせた1000ps仕様となる。なお、当初はトップシークレットのデモカー同様に3S-GTEを換装するつもりだったそうだが、スモーキー永田に相談したところ「それは無意味だから真似しなくて良いよ」と言われたそうだ。
コクピットも完コピだ。スタック製のマルチメーター、助手席前にはトラストグレッディの60φメーターを3連で装備。ステアリングはオーダーメイドのトップシークレットスペシャル、シートはレカロのトムキャットだ。ゴールドに塗装されたサイドバー付きロールケージが本気仕様を物語る。
ブレーキはキャリパー&ローターともにエンドレス製のモノブロックキットを装備。ホイールには2ピースの深リム、ボルクレーシングGT-Cを合わせる。「ホイールは廃盤モデルなので、世界中のオークションサイトをさまよいながら探し出しました!」とのこと。
一方のBNR34は、この撮影の前日に完成したという“出来立てホヤホヤ”のチューンドだ。GT-300スープラと違い、エアロパーツは全てトップシークレットの現行カタログモデルのため、エクステリア製作に大きな苦労は無かったそうだ。
ビーアさんの拘りは凄まじく、入手したBNR34(関税の関係で車体価格は6000万円!)は一度ホワイトボディ状態までバラしてボディのフルレストア&オールペイントを敢行。新車レベルまでコンディションを高めたのである。
エンジンはスモーキー永田が製作したRB26DETTのコンプリートユニットだ。腰下はHKS2.8Lキャパシティアップグレードキット(ステップ3)にて排気量アップ。そこにウエストゲート式のT88-38GKタービンをセットし、1000psに迫るスペックを実現している。制御はフルコンのMAX ECUが担う。
シートはビーアさんが製作したトップシークレット仕様のフルバケに交換済み。ゴールドカラーの5点式ロールバーが威圧的だ。
ホイールは、かつて販売されていたボルクレーシングTE37の限定派生モデルLE37T(9.5J-18)。タイヤにはポテンザRE-71RS(265/35-18)を組み合わせる。ブレーキシステムはGT-300スープラ同様のエンドレス製モノブロックが奢られる。
かくして誕生した2台のスーパーチューンド。今後は、アジアの様々なカーショーやイベントに乗り込んで話題をさらっていく予定とのことだが、驚くことにビーアさんの描くプロジェクトはこれで終わりではない。
「S15シルビアやBCNR33、R35GT-Rなどのトップシークレット歴代デモカーも製作予定です。スモーキー永田さんの素晴らしい作品を、JDMの魅力をアジアの若いクルマ好き達に伝えていきたいんです!」と熱く語る。
そして、日本のチューニング文化をこよなく愛するビーアさんには、もうひとつ大きな夢がある。東京オートサロンに愛機を出展することだ。「東京オートサロンこそ、自分にとってナンバーワンのスペシャルイベントですからね。いつか夢が叶ったら、たくさんの人に見てもらいたいですね」。
JDMとの出会いで人生を大きく変えた男と、その唯一無二のスーパーチューンド達は、日泰のカーカルチャーを橋渡しするアイコンになろうとしている。
●問い合わせ:トップシークレット 千葉県千葉市花見川区三角町759-1 TEL:043-216-8808
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