目次
GR86&BRZチューンの最先端を駆ける
今後はさらなるハードチューンで320km/hの世界に挑む!
NAチューンからGT2スーパーチャージャー仕様へとステップアップし、これが2度目の最高速トライアルとなる“フェニックスパワー”のBRZ。前回の走行ではスタート直後にECUエラーが発生。その場で対策を講じて何とかアタックは行えたものの、空燃費が異常に濃くなりパフォーマンスを発揮させることが出来なかった。
このままでは、思い描いている320km/hオーバーのプロジェクトが潰えてしまう。そこで今回はECUセッティングを根本から見直し、次のステップへの礎を築くべく再チャレンジを敢行したのである。
エンジンスペックは基本的に前回からのキャリーオーバーで、GT2-7040Lスーパーチャージャーは吸気を制限するリストリクターが取り外されたフルパワー仕様だ。エンジン本体および燃料系はノーマルのまま、R35GT-Rの圧力センサー+オリジナルECUにより綿密なセッティングで350psオーバーを叩き出している。
NAチューニング時代に組み込んだパーツをそのまま生かせるのも、GT2スーパーチャージャー仕様の大きなメリット。アペックスのEXマニ&メタルキャタライザー、RS-Xマフラーという排気系パーツの構成に変更はない。
ボルクレーシングTE37ウルトラトラックエディションII(FR8.5J+45)に、225/35-19サイズのアドバンスポーツV107の組み合わせも前回同様。ファイナルギヤは3.7(純正は4.1)へとハイギヤード化済み。
車高調はアラゴスタベースのオリジナル(F16kg/mm R18kg/mm+ヘルパー3kg/mm)で、クスコの調整式アームとブッシュ類のピロボール化も図られている。ブレーキは前後ともにエンドレスのモノブロックタイプを装着。
そしてアタックの時。快音を響かせながらグングン加速していくBRZだったが、バンク進入直前に前回と同じP0606というシステムエラーが発生! 現場で本格的なトラブルシュートは行えないため、とりあえずECU側のエラー項目を消去、さらにドライバーの稲田大二郎にトリガーとなり得る1〜2速でのアクセル操作方法を指示して再びコースに送り出すことに。
しかし…一難去ってまた一難。悪いことは続くのか、今度はアタック中に飛び出してきた鳥がヒットし、フロントバンパーとインナーフェンダーが破損…。その後、最低限度の応急処置を行ってラストアタックに飛び出し、満身創痍の状態ながら最後の最後で271.41km/hという記録をマークしたのだ。
「ECUエラーやバードストライクといったトラブルはありましたが、結果としてはイメージしていた通りになりましたね。ただ、今回発現したP0606というエラー項目は正確な内容が掴めていないので、今後も原因究明は続けていかなければならないです。今回でスーパーチャージャーのポテンシャルが見えてきたので、将来的にはターボ化して320km/hも目指していこうとモチベーションもアップしてきましたよ」とはフェニックスパワーの横山代表。
一方「色々あったけど、最高速にトラブルは“付き物”だからな。クルマのポテンシャルは確実に上がってるよ。ただし、高回転の伸びが弱くて6500rpmくらいで頭打ちになるのが気になる。あと100rpmでも伸びる感じがあれば良いね。伸びない要因のひとつは、GTウイングの走行抵抗があるかもしれないな」とは、アタックを担当したDaiこと稲田大二郎。
ハーフウエットの路面状況と車両トラブル、そしてコースアクシデントに苦しむも、ようやく次のステップアップに繋がる道筋が見えてきたフェニックスパワーのBRZ。今後の展開が非常に楽しみだ。
●取材協力:フェニックスパワー 福井店:福井県坂井市丸岡町朝陽2-317 TEL:0776-67-2980/京都店:京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157
【関連リンク】
フェニックスパワー
http://www.phoenixs.co.jp