「これぞ80年代の大傑作!」ホンダらしさ全開なシティカブリオレに乗ってみた!!

ピニンファリナの技術が投入されたホンダの金字塔

全長は今時の軽自動車以下、コンパクトな4人乗りオープン!

「ホンダ」を連呼するテレビCMもそうだし、素のモデルに加えてマンハッタンルーフ、ハイパーシフトやターボ&ターボIIブルドッグ、オプション設定だったモトコンポもそう。ホンダらしさ全開だったのが、初代AA型シティだ。登場は1981年11月。それに遅れること約3年の1984年7月に手動開閉式ソフトトップを持つカブリオレが加わった。

その開発にあたって技術協力したのがイタリアの老舗カロッツェリア、ピニンファリナ社で、ボディの基本構造やソフトトップの形状、レイアウトなどを手がけた。一方、ソフトトップに採用される材質はホンダが独自に開発したモノ。優れた耐候性を持つのはもちろん、高い断熱性や防音性なども兼ね備えていた。

フトトップ開閉時に感心したのが、ガラス製リヤウインドウの動き。ソフトトップ内側から上部がベルトで吊るされているだけにも関わらず、折り畳んでいくに連れて自ら下に落ち込んでいくのだ。逆に、ソフトトップを上げる時にはせり上がってくる。こんなところまで計算されていたとは驚きだ。また、オープン時にソフトトップの保護やバタつきを抑えるカバーも装備。

ソフトトップを閉めた状態でもサマになるスタイリング。リヤクォーターウインドウは、実は半分くらいまでしか開かない。また、ロールオーバーバーの側面にはピニンファリナのエンブレムが付く。

また、カブリオレは1983年10月発売のシティターボIIと同じボディを持つのも特徴。素のシティに対して、前後バンパーのデザインで全長が40mm、ブリスターフェンダー化によって全幅が55mm拡大。ホイールも12インチから13インチに変更され、60扁平タイヤを履くなど、オープンカーにしてスポーティなフォルムを見せていた。

エンジンは1.2L直4のER型。無鉛レギュラーガソリン仕様としては世界で初めて圧縮比10.0:1を実現した、通称“コンバックス”エンジンと呼ばれる。SOHCながら各シリンダーに吸気2、排気1の3バルブを持つ。

ミッションによってスペックが異なり、最高出力は5速MTが67ps、3速ATが63ps。その発生回転数も3速ATの方が500rpm低い5000rpmとなる。また、最大トルクは10.0kgmで変わらないが、こちらも3速ATは500rpm低い3000rpmでピークに達する。

ダッシュボードは水平基調のデザイン。豊富な収納スペースが大きなウリのひとつだった。スピードメーターは160km/h、タコメーターは7000rpmフルスケールで、その間に燃料計と水温計が配置される。スピードメーターの内側にはLレンジ、★レンジの速度域の目安も描かれている。

ミッションには5速MTと、ホンダマチックと呼ばれる3速ATを用意。3速ATはODレンジでトルクコンバーターのスリップを防ぐロックアップ機構が付く。P-R-N-OD-★-Lの6ポジションで、ギヤ比はLが1.782、★が1.206、ODが0.828。車重は素のシティより100kg以上増えて800~810kgに達したが、オープンエアドライブを楽しめるのだから、そこに文句を言っても仕方がない。

シティカブリオレのシート生地には雨などにも濡れないビニールレザーと、肌触りの良いファブリックの2種類が用意されていて、取材車両は前者だった。運転席はレカロに交換。

ソフトトップを開けて走り出す。アップライトなドライビングポジションと、手を伸ばせば四隅に届きそうなほどコンパクトなボディ。この日は雲ひとつない晴天で、陽射しが容赦なく照りつける。しかし、それすら楽しく思えてしまうほど、シティカブリオレはハッピーな気分にさせてくれるのだ。

走りは…ほぼ想定内だった。パワーと車重のバランス、そこにワイドレンジな3速ATということを加味すると、「アクセル全開でコレ!?」というくらいの加速しかしなくて当然だ。とくに60km/hくらいまでは。それ以上だと、アクセル操作に合わせて前に出る。

しかし、いくら加速が鈍くても、思ったようにスピードが乗らなくても、そんなことは関係ない。のんびり走っても楽しくて、幸せな気分になれるのがシティカブリオレなのだから。

■SPECIFICATIONS
車両型式:FA
全長×全幅×全高:3420×1625×1470mm
ホイールベース:2220mm
トレッド(F/R):1400/1390mm
車両重量:810kg
エンジン型式:ER
エンジン形式:直4SOHC
ボア×ストローク:φ66.0×90.0mm
排気量:1231cc 圧縮比:10.0:1
最高出力:63ps/5000rpm
最大トルク:10.0kgm/3000rpm
トランスミッション:3速AT
サスペンション形式(FR):ストラット
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ(FR):175/60R13

1 / 10

「「これぞ80年代の大傑作!」ホンダらしさ全開なシティカブリオレに乗ってみた!!」の1枚めの画像

2 / 10

「「これぞ80年代の大傑作!」ホンダらしさ全開なシティカブリオレに乗ってみた!!」の2枚めの画像

3 / 10

「「これぞ80年代の大傑作!」ホンダらしさ全開なシティカブリオレに乗ってみた!!」の3枚めの画像

4 / 10

「「これぞ80年代の大傑作!」ホンダらしさ全開なシティカブリオレに乗ってみた!!」の4枚めの画像

5 / 10

「「これぞ80年代の大傑作!」ホンダらしさ全開なシティカブリオレに乗ってみた!!」の5枚めの画像

6 / 10

「「これぞ80年代の大傑作!」ホンダらしさ全開なシティカブリオレに乗ってみた!!」の6枚めの画像

7 / 10

「「これぞ80年代の大傑作!」ホンダらしさ全開なシティカブリオレに乗ってみた!!」の7枚めの画像

8 / 10

「「これぞ80年代の大傑作!」ホンダらしさ全開なシティカブリオレに乗ってみた!!」の8枚めの画像

9 / 10

「「これぞ80年代の大傑作!」ホンダらしさ全開なシティカブリオレに乗ってみた!!」の9枚めの画像

10 / 10

「「これぞ80年代の大傑作!」ホンダらしさ全開なシティカブリオレに乗ってみた!!」の10枚めの画像

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
●取材協力:SMC 岡山県倉敷市連島町西之浦570 TEL:086-691-2000

「時代を先取りしたホンダの英知」元祖国産FFホットハッチと言えばシビックRSだ!

「もしかしてコイツは4ドア版のプレリュードなのか?」素のH23Aを搭載する国内唯一の存在!

「屋根がなければドアもない・・・」オープンエアすぎるバモスホンダの長期レポート!?

キーワードで検索する

著者プロフィール

weboption 近影

weboption