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手軽にパワーアップを狙うならこれで決まり!
コスパにも優れる現実的スワップメニュー
「面白いところに目を付けたなぁ…」。それが、エンジンをコルトバージョンRの4G15ターボに、ミッションを86/BRZ純正6速MTに換装したハチロクを前にした率直な感想だった。
このメニューをコンプリートとして展開するのが“レーシングハウスサカイ”。エンジンにお金を掛けて耐久性まで削っても、いいところ200ps…という4A-Gに見切りをつけ、「速くて楽しい仕様をもっと安く作れないか?」と考えた同社代表の坂井さんによって編み出された。
1.5LでMIVEC採用の4G15ターボは、前後期、MT車とCVT車でスペックが異なるが154~163ps。コルトRより車重が200kg以上軽いハチロクにそのまま載せただけでも、立派なチューンドエンジンだ。が、レーシングサービスサカイでは、換装にあたって一手間と言わず三手間ほどをかける。
「まずタービンをS14/15のボールベアリング式、もしくはGT-SSに交換。最大ブースト圧1.5キロで前者なら300ps、後者なら330psを狙えます。制御にはハルテックを使用。これでワイヤー式スロットルが使えるようになり、4G63用の流用でビッグスロットル化が図れますからね」と坂井さん。
もちろん、劇的なパワーアップを手軽に実現するだけでない。4G15ターボは4A-Gより単体重量が軽く、しかもコンパクト。エンジン搭載位置を後方に下げられることで前後重量配分を改善し、ハチロクの持ち味と言える軽快なハンドリングにさらに磨きがかかるのだ。
ラジエターの前方に装着された汎用インタークーラー。その取付け位置と角度が絶妙で、ターボ車であることを強く主張しないよう、あえてバンパー開口部から見えにくくしている。インタークーラーの奥にはエンジンオイルクーラーもセット。
純正ハーネスを移植してコルトR純正ECUで制御する方法もあるが、スロットルはノーマルの電子制御式しか使えず発展性も望めない。そこで、取材車両はハルテックエリート750でのフルコン制御を実施。「エリート1500なら電子制御スロットルに対応していてバブリングも可能。いずれそんな仕様も作ってみたいですね」と坂井さん。
エンジンと並ぶもう一つの見どころがミッション。これまでは同じ6速MTでもアルテッツァ用を使っていたが、最新作では86/BRZ用を組み合わせる。「エンジンマウントはオリジナルで製作。ミッションマウントはトヨタの他車種用を使うとボルトオンで、モノコック側を一部加工するだけで載せることができますよ」と坂井さんは言う。
こちらが、オリジナルベルハウジングを介して搭載されたアイシン製ZN6/ZC6純正6速MT。ミッションマウントのブラケットは、薄型設計で最低地上高を確保しやすいJZX用がボルトオンで使える。
また、クラッチは本来プル式だが、レリーズベアリングの位置を調整することでプッシュ式として使用。操作性に問題はなく300psでも滑らないという。ファイナル比は岡山国際を走るオーナーには4.5を推奨。ストリートメインなら純正4.3でOKだ。
エンジン&ミッションの搭載位置から、シフトレバー位置はノーマルに対して50mmほど後退。そのため、センタートンネルのシフトレバーホールを拡大しなければならない。ストリート仕様ではセンターコンソールパネルの加工も必要になる。
ミッション換装時、長さ調整など何らかの加工が必要になるケースが大半のプロペラシャフト。しかし、「この仕様だとトヨタの他車種用が無加工でいけるんです」と坂井さんは言う。そこには、これまでハチロクに数々のエンジン&ミッションを換装してきたレーシングハウスサカイのノウハウが活きているのだ。
パワートレインを丸ごと入れ替える新たなハチロクチューン。程度が良い中古パーツでコストを抑えれば、取材車両と同じ仕様が200万円で完成する。ハチロクが好きなのか、それとも4A-Gが好きなのか? もし前者なら、このコンプリートメニューは絶対にお勧めだ。
●取材協力:レーシングハウスサカイ 広島県三原市須波西1-5-28 TEL:0848-67-9551
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レーシングハウスサカイ
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