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“コクピット館林”謹製の5A-Gチューニング
排気量アップとロングストローク化で低中回転域のトルクが劇的に向上
“コクピット館林”が手掛けたAE86の登場だ。エンジンはAE101/111用4A-Gに換装した後、さらなるパワー増強を狙ってオリジナルの専用ピストン、コンロッド、クランクシャフトを投入。独自の5A-G仕様としているのがポイントだ。細部を見ていこう。
オリジナルピストン(写真左)はノーマル(写真右)よりも薄い設計で、ピンハイトや冠面&スカート形状にも違いが見られる。バルブリセスは9.5mmリフトまで対応。また、写真には写ってないがピストンリング&ピンも専用品を用意している。
ボア×ストロークをノーマルのφ81.0×77.0mmからφ82.0×83.0mmに拡大し、排気量が1587ccから1752ccへと約170ccアップするこの5A-G仕様は、6mmのロングストローク化と併せて、まず2000~3000rpmのトルクが劇的に向上している。ノーマルにあった“センの細さ”は感じられず、アクセルオンと同時にグイグイと力強く前に出ていってくれる。
ヘッドには、戸田レーシングカムシャフト(288度/9.2mmリフト)に合わせてカムスプロケットも戸田レーシングの調整式を装着。現状バルタイはIN、EXとも110度にセットされているが、コクピット館林の亀田さんいわく「圧縮比が高いので、もう少し進められますね」とのこと。
EXマニは、パイプ径φ42.7→45→50.8の4-2-1レイアウトを採用するHKSスーパーヘッダーIIに交換。
アペックススーパーキャタライザーを介して、マフラーにはメインパイプ径50φ、テール径102φのトラストパワーエクストリームTiが装着される。トータルで排気抵抗の低減を実現。
エンジン制御はトラストeマネージアルティメイトが担当する。センサーを追加し、圧力とエンジン回転数によるエアフロ擬似マップを作ってDジェトロ化を図り、スロットル開度とエンジン回転数で燃調を補正。
上記のような仕様で、まずダイノパック(係数ゼロ)でパワー&トルクの計測を敢行した。
結果は、最高出力158.9psを7100rpmで、最大トルク16.5kgmを5600rpmで発生。今回はエアクリーナー装着状態で行ったため、エアクリを外してECUセッティングをさらに煮詰めれば、170ps台中盤が狙えるはずだ。
続いて試乗。13.2まで高められた圧縮比とエアフロレス化、インテークチャンバーの撤去などによってレスポンスも抜群。右足の微妙な動きにもタコメーターの針が反応し、吸排気音のトーンが細かく変化するのは、ハイコンプNAメカチューン仕様ならではの醍醐味だ。
と、常用域でもその魅力や楽しさは十分に感じられるが、5A-G仕様が本領を発揮するのは4500rpmあたりから。IN/EXに組まれたの効果によってパワーを2次曲線的に高め、レスポンスにも一層の鋭さを増しながら7000rpm+αまで、スムーズかつ豪快に吹け上がっていく。
どこまでも続いていきそうなパワー感と突き抜けるようなレスポンス、さらに常用域での扱いやすさ。そのどれもが、これまで5バルブ4A-Gベースのチューニングではなかなか味わえなかったフィーリングだ。
それを専用設計のピストン、コンロッド、クランクシャフトによって特別な加工を施すことなく、エンジンオーバーホールと同等の作業で実現。このパワースペックが、ハチロクチューンを大きく一歩前進させることは間違いない。
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
●取材協力:コクピット館林 群馬県館林市赤生田町2202 TEL:0276-72-5451
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